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2011年9月25日 (日)

バスジャック

著  者:三崎亜記
出版社:集英社
出版日:2005年11月30日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者が描くのは「当たり前でないことが当たり前の世界」。本書もそんな物語が7つ収められた短編集。すべて「小説すばる」に2005年に掲載された作品ながら、短いものは3ページ、長いものは約90ページと、長さはまちまちだ。

 「当たり前でないことが当たり前」で、現実を歪んだレンズを通して見ているような落ち着かなさを感じる。そこまではどの作品も共通なのだけれど、読後感で二分される。読み終わってスッキリとした作品と、そうでない作品だ。

 スッキリした作品は、まず最短の3ページの作品「しあわせな光」で、これは希望の中で終わる。次に短い4ページの作品「雨降る夜に」は、何となくホッとする。表題作の「バスジャック」は18ページ、ピタリと着地が決まった感じ。「動物園」は52ページ、幾分ムリ目な設定を何とか描き切った。
 そうでない作品は、まず冒頭の30ページの作品「二階扉をつけてください」。「歪んだレンズ」を一番強く感じる作品、著者には珍しいブラックユーモア。「二人の記憶」は17ページ、ハッピーエンドに見えるが、本当にそうだろうか?

 最長の約90ページの作品「送りの夏」は、著者の作品のもう一つの特徴である「喪失と回復」を描いたものだ。「喪失」を抱えた人々の寄り添うような暮らしを、小学生の少女の目を通して描く。ただこの物語は、着地がうまくいかなかったように思う。

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三崎亜記 『バスジャック』(集英社文庫)、読了。 「バスジャック」というタイトルから、 乃南アサさんの『再生の朝』がイメージとして連想されて、 勝手に、真面目な小説だとばかり思い込んで読み始め...... [続きを読む]

受信: 2011年9月25日 (日) 14時42分

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