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2011年9月17日 (土)

島国日本の脳をきたえる 島からの思索

著  者:茂木健一郎
出版社:東京書籍
出版日:2011年8月22日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 著者のことはテレビで時々見かけていた。脳科学者で、人間の行動を脳の働きと関連付けて、ちょっと興味深げな話をする。そんなイメージの人だと思っていた。

 まず、「世界から孤立し、国内の絆もくずれ始めた島国日本。絶対絶命のマウンドに立った脳科学者が投じた渾身の勝負球とは?」という書籍紹介に大変興味を魅かれた。あの茂木健一郎さんは、今の世の中に対してどんなことを言っているのだろう?と。

 結論を先に言うと「~渾身の勝負球とは?」という書籍紹介は、本を売るためのコピーだから仕方ないが、意気込みすぎだったようだ。その「渾身の勝負球」として書かれているのは、「コミュニティを取り戻すこと」と「クリティカル・シンキング(論理的に分析する能力)を獲得すること」の2つ。
 「国内の絆もくずれ始めた」という問題に対して、「コミュニティを取り戻すこと」というボールを投げ返しても、あまり意味がないだろう。震災以後、幾分情緒に流され気味なので、バランス上「クリティカル・シンキング」を言うことは必要かもしれない。ただ、期待したような「渾身の勝負球」という言葉に相応しい熱は感じられなかった。(「どんなことを期待していたのか?」と問われても、私自身答えがないのだけれど)

 このように「渾身の勝負球」を前提にすると、期待外れの感があるけれど、つまらないというわけではない。本書は三部構成で、第1部は、「3.11以後、僕が考えたこと」、第2部は、講演のために出かけた島での体験をもとにした「神津島で、僕が考えたこと」、第3部は、神津島での質問に答える「脳をきたえる方法」だ。
 短い散文の積み重ねなので、前後で辻褄の合わないものもある。しかしそのそれぞれは、私が本書を読む前に感じていたとおりの「人間の行動を脳の働きと関連付けた、ちょっと興味深げな話」だった。

 気になった点が1つ。著者は「安全基地(セキュア・ベース)」という心理学の概念を基に、様々な意見を展開している。言うまでもなく、著者は脳科学者であって心理学者ではない。しかし、心理学と脳科学が混然となって語られていて、専門外の「安全基地」についても、専門家の意見であるかのような錯覚が起きてしまう。

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