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2011年8月 6日 (土)

デイルマーク王国史2 聖なる島々へ

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:田村美佐子
出版社:東京創元社
出版日:2004年10月22日 初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「詩人たちの旅」に続く、「デイルマーク王国史」4部作の第2作。「詩人たちの旅」とほぼ同時期の出来事を、舞台となる場所と登場人物を変えて綴る。

 今回の主な舞台は、南北に分かれて反目するデイルマーク王国の、最南端に位置するホーランド。伯爵による苛烈な圧政の元で、民衆の不満がたまっている。主人公は、そこで小作農の息子として生まれたミットと、伯爵家の三男の子どものヒルドリダとイネンの姉弟。
 庶民の生活は圧政に虐げられ、ミットは少年の身で反乱組織「ホーランド自由の民」の一員となり、伯爵暗殺計画の一翼を担う。ヒルドリダとイネンの姉弟は、裕福ではあっても自由にならない暮らしに不満を募らせていた。そして、一族を政治のコマとしか見ない祖父によって、ヒルドリダは9歳にして遠方にある「聖なる島々」の20歳の領主と婚約させられる。

 ミットと、ヒルドリダとイネンの姉弟。生まれ育ちが違い、それ故に色々な価値観も違う。おまけに姉弟にとっては、ミットは祖父の命を狙った人間。この相容れるところのない2組の少年少女が、偶然の出来事によって遭遇し、ヨットで海上を北を目指す。そして物語は何度かの起伏を経て終盤のスペクタクルへ向かう。

 なんとも頼もしい子どもたちだ。彼らはヨットを操ることができるし、夜間に交代で見張りに立つこともできる。相手の意見を聞き、受け入れるべきことは受け入れ、取るべき方針を決断することもできる。問題を先送りにしたり、身内を裏切ったりするダメダメな大人たちと好対照。「気丈な子どもと信用ならない大人」は、著者の後の作品にも共通する特長だ。

 本書は4部構成で、「圧政に抗するレジスタンス」の第1部、「追いつ追われつ」の第2部、「海洋冒険物語」の第3部、「魔法ファンタジー」の第4部と、1冊で様々な形式の物語が楽しめる。

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