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2011年8月28日 (日)

僕たちのミシシッピ・リバー 季節風 夏

著  者:重松清
出版社:文藝春秋
出版日:2008年6月15日 第1刷発行 
評  価:☆☆☆(説明)

 「ツバメ記念日 季節風 春」に続く、短編集シリーズ2冊目の「夏」編。春夏秋冬の各編があるので、それぞれの季節に読もうと思っている。12編を収録。

 「夏」ってどんな季節?と聞けば、色々な答えが返ってくるだろう。子どもたちにとっては「夏休み」がある季節だろう。高校球児にとっては「甲子園の夏」、中高生の3年生にとっては「最後の夏」だ。(不思なことに「最後の春」や「秋」「冬」とはあまり言わない。)

 表題作「僕たちのミシシッピ・リバー」は、小学生の夏休み、真っ直ぐな友情を描いた秀作。映画「スタンド・バイ・ミー」の主題歌が聞こえてきそうだ。「虹色メガネ」は小学生の少女の、「終わりの後の始まりの前に」は高校球児の、精細な心のひだを掬う。著者の真骨頂と言える。

 大人にとっては「お盆」の季節、著者はそう感じたらしい。長めの休み、帰省、親戚が集まる。こうした場面の物語が並ぶ。そして「お盆」には、亡くした人を偲びその魂を迎える...収録されている12編のうち7編が、亡くなった人に思いを馳せる物語だった。

 近しい人の死に直面した直後ではなく、何年か後を描いたものもある。「あじさい、揺れて」「ささのは さらさら」は、伴侶を亡くした女性の再婚をめぐる家族の話。「金魚」は、子供のころの親友の三十三回忌の話。大切な人を亡くした人々が故人を想う。当たり前だけれども残された人は、生きて普通に生活していく。その人の死を、忘れるのでも、薄れるのでも、乗り越えるのでもなく、大事に心にしまって今を生きる。

 冒頭に収録された作品「親知らず」が胸に沁みた。何とも痛々しい物語なのだけれど、「今を生きる」という意味では、主人公はこの奥さんと暮らして、今幸せだと思う。

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