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2011年7月30日 (土)

真夏の方程式

著  者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2011年6月6日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者が生み出した天才物理学者の湯川の推理が光る、ガリレオシリーズの最新刊。長編では「容疑者Xの献身」「聖女の救済」に続く第3弾。

 今回の舞台は、玻璃ヶ浦という海辺の街。「玻璃」は水晶のことで、太陽に照らされた海の底が、いくつもの水晶が沈んでいるように見えることから、街の名前が付いた。言わばこの海は宝の海。しかしその宝の海を抱くこの街は寂れる一方だ。
 その街に降って湧いたのが海底資源開発の話。湯川はその調査の技術指導のために、この街に来た。そして開発に反対する女性、成実の両親が経営する旅館に泊まる。翌日、その旅館の宿泊客の男性が、堤防から転落した状態で遺体となって発見される..。

 今回の現場は警視庁の管轄ではない。これまでのシリーズに登場した、湯川の大学の同期で警視庁の刑事の草薙の出番はないかと思ったが、そんなことはない。被害者の身元から、事件は早々に警視庁へ東京へ、そして草薙へと結びつき、いつも通りの地道な活躍を見せてくれた。新人?の女性刑事の内海の捜査も頼もしかった。
 また、こちらはいつもと違って、子ども嫌いの湯川が、今回は小学校5年生の少年の恭平クンと気が合ったようだ。夏休みの自由研究の手伝いをしたり、宿題を教えてあげたり。「大学の物理学の先生に自由研究を手伝ってもらうなんて何と贅沢な」とか「湯川先生、実は子ども好き?」などと思ってしまった。

 伏線の仕込み方が見事だ。「そうだったのか」と何度もページを前に繰った。そして著者が繰り出す「新事実」に翻弄された。何かが分かる度に「そういうことか」と真相に近づいた気になった。しかしそれは真相の一部でしかないか、まったく真相とは関係ない、ということが最後まで続く。騙され通しの400ページだった。

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コメント

「真夏の方程式」本当にいいですよね。
湯川に変化が見えましたが、またそれが良かったと思います。
ほんと伏線の仕込みも見事でしたね。
いろんな意味で素晴らしい小説だと思いました。

投稿: りょうた | 2011年9月 3日 (土) 16時12分

りょうたさん、コメントありがとうございます。

りょうたさんのブログを拝見しました。東野さんの作品を
たくさん読んでおられるんですね。

私は、まだそんなに読んでないのですが、今のところ
「ハズレなし」です。
 

投稿: YO-SHI | 2011年9月 6日 (火) 17時46分

ガリレオシリーズをひさびさに読みました。
伏線がいっぱい張られていて、
読んでいて、飽きませんでした。

最後の終わり方がああいった感じで終わったのも、
ありなんだろうなと思いました。

投稿: Hayabusa | 2012年3月 4日 (日) 13時56分

Hayabusaさん、コメントありがとうございます。

殺人事件のミステリーなんですが、犯人を見つけて逮捕!
というスッキリした終わり方ばかりが良いとは限らない、
ということなんでしょうね。
特に今回は、ああいった感じで「あり」だと思います。

投稿: YO-SHI | 2012年3月 7日 (水) 16時50分

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