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2011年5月26日 (木)

食堂かたつむり

著  者:小川糸
出版社:ポプラ社
出版日:2008年1月15日 第1刷発行 4月4日 第11刷
評  価:☆☆☆(説明)

 2008年発行のベストセラー。2010年には、柴咲コウさん主演で映画化されている。その映画のDVDを紹介する、HMVサイトのページによると、本書の発行数は2010年3月現在で80万部を超えるそうだ。私が何年か前に応募した書評コンクールで課題図書になっていたことと、テレビの映画のCMが記憶に残っていて、手に取ってみた。

 主人公は倫子、25歳。プロの料理人なろうと決めて、都会で料理店で働いていた。故郷に二は15歳の春に出て以来帰っていない。唯一の肉親である母とも会っていない。しかし、手痛い失恋をした(私は、相手の行為は「犯罪」だと思うけれど)彼女は、その故郷へ、母の元へ向かう。物語はここから始まる。

 その後は、故郷へ帰った倫子が、人々の助けを得て食堂を開き、その食堂に来店するお客や街の人々との触れ合いを描く。1日に1組だけ、お客の話を聞いて出す料理を考えるという、少し変わった食堂の「食堂かたつむり」。倫子の食堂で料理を食べたお客には、不思議な効果が表れる。倫子にも、以前は嫌っていた奔放な母との関係に変化が訪れる。

 すべり出しは良かった。故郷に帰って最初の夜、倫子は食堂を開くべく、母に一生一回の覚悟を決めてお願いをする。それに応える母の一言が良かった。この一言に母の心持ちを、私は感じ取った。極度に緊張していた倫子は、それに気付けなかったようだけれど。
 この一言に著者と本書に対する期待が高まったが、惜しいことにその後はこのような唸らせる一言にも展開にも出会わなかった。エピソードがプロットを追うだけの感じがした。もう少し肉付けがあれば良かった。

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