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2011年5月19日 (木)

魔空の森 ヘックスウッド

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:駒沢敏器
出版社:小学館
出版日:2004年12月1日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズさん1993年の作品。著者は、1970年代から現在まで作品を発表し続けているので、これまでの経歴のちょうど中間ぐらいにあたる。著者の作品では、登場人物には全く別の「真の姿」がある、というトリックがよく使われ、捻りの効いた展開と辛口のユーモアが持ち味だ。本書にもそれは言える。

 主な舞台は、ロンドンから40マイルのヘックスウッド農場。主人公はその農場近くのウッド・ストリートで、八百屋を営むステイヴリー家の娘、13歳のアン。彼女は、自分の想像の世界に、「王様」「少年」「囚人」「奴隷」と名付けた友達がいて、彼らと会話ができる。彼らはアンのことを「ガール・チャイルド」と呼ぶ。
 ある時アンは、一風変わった人々が農場へ入っていくのを、立て続けに見る。そして、誰も出てこない、まるで消えてしまったかのように。不思議に思って、農場に踏み入ったアンは、そこでモーディオンという男と出会い、彼が血から少年を生み出すのを目撃する。

 「血から人間を生み出すなんて、黒魔術の話?」と、物語の導入部で不安と期待が入り混じった。しかし、この後はここからは予想しえない展開になっていく。実は「全宇宙をレイナーという名の一族が支配している」という設定で、SFっぽい要素があるかと思えば、お城も騎士もドラゴンも魔法使いも出てくる。
 さらに、時間軸がどうも歪んでいるようなのだ。例えば、モーディオンが生み出した少年は、すぐに10歳ぐらいに成長したかと思えば、また幼くなったり、今度はアンより大きくなったりする。前に起きた出来事の原因が後になってから起きたりもする。

 正直に言って手に負えないと思うぐらい複雑に、ストーリーが交錯している。全く目が回りそうだった。とは言え、時間軸の歪みも、アンの想像の世界の友達にも、物語における重要な意味がある。複雑さに降参してしまわずに、何とかついていけば、本書の楽しみは倍増する。

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