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2010年12月25日 (土)

デザイン学 思索のコンステレーション

著  者:向井周太郎
出版社:武蔵野美術大学出版局
出版日:2009年9月25日 初版第1刷 10月25日 初版第2刷
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 本書は、武蔵野美術大学の教授であった著者が、所属の基礎デザイン学科で行った講義「デザイン学のアルファベット-思索のコンステレーション」を基にしたもの。「アルファベット」は「入門編」を意味するのではなく、aからzまでの26文字を頭韻とするデザイン関係の語彙の中から、著者が選んだ言葉について語る、という形式を示唆している。本書も、abduction、Bauhaus、cosmology、とアルファベット順に話が展開している。

 abduction、Bauhaus、cosmologyに、違和感を感じられた方がいるだろうか?Bauhausは、20世紀始めのドイツにあったデザインのための総合造形学校だから、まぁ順当なのだけれど、abductionは、「仮説形成」や「仮説的推論」などと訳される論理学の用語で、cosmologyは、「宇宙論」で天文学または哲学の一部門、一般的にはデザインに関する語彙ではないと思う。
 まぁ「デザイン」と一口に言っても、ポスターやチラシなどの印刷物のデザイン、商品の形状のデザイン、製品戦略のデザインなど様々だ。都市計画や政策のデザイン、と幅広い捉え方もある。しかし、本書での「デザイン」は、さらに広範なものを指していて、それは論理学とも哲学とも融合するのだ。私の言葉では、それをうまく説明できないので、本文から引用させてもらう。

デザインという創造的行為は、まさに全体としての「生」の基盤の充実、「生命」の生成や存在の意義と深くつながっているのです。ですから、デザインとは、その本質において、一般的な理解のされ方のような単に産業や経済や市場のための行為ではないのです。(357ページ)

 感銘を受けた。著者の博識と大きな世界観に、生命や自然・文化に対する慈愛に満ちた眼差しに。自然も文化も地域も心さえも、産業と経済の名の下に押し流すようにして破壊していく今の日本を、著者は憂えている。決して読みやすい本ではないが、本書の「デザイン」の概念が普及すれば、それを止められるかも知れない。

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