« のぼうの城 | トップページ | 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン »

2010年11月20日 (土)

博士の愛した数式

著  者:小川洋子
出版社:新潮社
出版日:2003年8月30日 発行 9月25日 3刷
評  価:☆☆☆(説明)

 2004年の、つまり第1回の本屋大賞第1位。2006年には映画化され興行収入12億円のヒット作となった。実は映画は前に見ていて「今さら」感を感じるのだけれど、本でも読んでみたくて手に取った。

 事故の後遺症で記憶が80分しかもたない数学者の「博士」。その家に家政婦として派遣された主人公の「私」。彼女は毎朝玄関で「新しい家政婦さん」として、博士に迎えられる。そして、博士は数学の話でしかコミュニケーションを取れない。「私」との初めての会話は「君の靴のサイズはいくつかね」だ。

 「私」の靴のサイズは24なのだけれど、それに何の意味があるのか?(そりゃ「足の大きさを表す」という意味はあるのだけれど)博士にかかれば24は「潔い」数字なのだ。何故なら4の階乗(1×2×3×4)だから。...「潔いかな?まぁそれで?」と思う人もいるだろう。
 しかし「私」の誕生日の2月20日の220と、博士の時計に刻まれたナンバーの284が「友愛数」と呼ばれる、滅多に存在しない組み合わせで「神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字」だ、という場面では、2つの数字にロマンチックなものを感じないではいられないだろう。

 本書とその映画がヒットした理由の一つに、このような数字のウンチクと面白さがあるのは否定しない。しかしそれは本書の魅力の入り口であり表層的なものだ。時に滑稽に見えてしまう博士の所作の裏にある、ひたむきさや子どもへの愛情と、それを感じることができる「私」との出会いと交流こそが本書の核心だと思う。

 ※映画やテレビなどを先に観ると、本を読んでいて、かなり鮮明に映像が浮かび上がってきます。今回は、寺尾聰さんと深津絵里さんがずっと会話していました。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「博士の愛した数式」 固定URL | 2.小説, 29.小川洋子

« のぼうの城 | トップページ | 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン »

2.小説」カテゴリの記事

29.小川洋子」カテゴリの記事

コメント

YO-SHIさん こんばんは。
私も映画の方が先だったので、小説では寺尾聰さんと深津絵里さんが会話をしていました。
やっぱり一度映像で見てしまうと、イメージが固定されてしまいますね。
でも、映画もけっこう好きでした。

数字のうんちく、いろいろありましたが、面白いですよね。
「天地明察」もそうでしたが、数学などが小説に出てくると勉強したくなります(^_^;)

投稿: たかこ | 2010年11月21日 (日) 23時46分

たかこさん、こんにちは。

そうですね。私も映画も好きです。
この本の場合は、映画も良くできていて、原作の雰囲気と
うまくマッチしているように思いました。

あの映画、実は私の街でロケしたんです。知っている場所が
出てきて、それも親しみが湧く理由になってるんですが..
 

投稿: YO-SHI | 2010年11月24日 (水) 16時23分

YO-SHIさん、おはようございます。
ついったーから参りました!

わたしは映画は観ないまま最近になって小説を読んだのですが、映画も良さそうですね。
ぜひ観てみたいです。

数学嫌いも数字に魅せられてしまう良作でしたよね^^
博士の温かさが身に染みました。

投稿: hiraco24 | 2010年11月26日 (金) 09時10分

hiraco24さん、コメントありがとうございます。

原作が気に入られたら、映画も雰囲気が生かされていていいと思います。

数学もあんな風に教えてもらったら、ロマンさえ感じますよね。
ルートがうらやましいです。

投稿: YO-SHI | 2010年11月26日 (金) 16時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/108492/50081106

この記事へのトラックバック一覧です: 博士の愛した数式:

» 博士の愛した数式 / 小川洋子 [たかこの記憶領域]
博士の愛した数式小川 洋子新潮社 2003-08-28売り上げランキング : 107129おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools 映画は何年か前に見ていたのに、原作は読んでなかった…。今更という感じもするけど、読んでみました。 読み終わった感想は、 数字をこんなふうに...... [続きを読む]

受信: 2010年11月21日 (日) 23時43分

» 小川洋子『博士の愛した数式』 [itchy1976の日記]
博士の愛した数式新潮社このアイテムの詳細を見る 今回は、小川洋子『博士の愛した数式』を紹介します。この本は、心温まる(heartful)美しい本だと思いました。この本の主要な登場人物は、家政婦とその息子(ルート)と博士である。博士は、1975年で記憶の蓄積が止まっている。記憶は、80分しか持たない。この本で出てくる事例でいうと、つまり、その当時の阪神タイガースの28番江夏豊は知っているが、トレードされた以降の江夏豊は知らない。 この話の心温まるところは、一途な博士の姿である。家政婦とルートに数学... [続きを読む]

受信: 2010年12月 4日 (土) 03時10分

« のぼうの城 | トップページ | 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン »