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2010年11月 4日 (木)

モーツァルトの陰謀

著  者:スコット・マリアーニ 訳:高野由美
出版社:エンジン・ルーム/河出書房新社
出版日:2010年10月30日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 発行元のエンジン・ルームさまから献本いただきました。感謝。

 以前に読んだ「消えた錬金術師 レンヌ・ル・シャトーの秘密」に続く、「ベン・ホープ」シリーズの第2弾。主人公ベン・ホープは、長身でブロンドの髪の英国陸軍特殊空挺部隊の元精鋭。過去の悲しい出来事の影響もあり、誘拐された子どもの救出を生業としている。子どもを誘拐するような連中が相手であるから、銃の引き金を引くのに躊躇はしない。鋼のように強い精神力の持ち主なのだが、どこか影と脆さが漂う。

 そのベンにも一時は心を許し将来を考えた女性がいた。軍隊時代からの親友オリバーの妹で、今は有名なオペラ歌手になっているリーだ。15年前にベンはリーの許を黙って突然去った。1年ほど前にオリバーが亡くなって、その葬儀でベンはリーを見かけたが声をかけることができなかった。しかし、リーの方からベンに連絡があった。「ベン、わたし怖いの。お願い、できれば、すぐに来て」と。

 前作は伝説の錬金術師の手稿を求める探索行を描いたが、今回の物語は、モーツァルトが遺した最後の手紙をめぐる探索行、いや逃避行だ。オリバーの死には不可解な点があり、その死に関わると思われる組織は、確実にベンとリーを捉えていた。逃げても逃げても狙いすましたように襲撃を受ける。

 秘密結社、冷酷な殺人鬼、美貌のパートナー、歴史に埋もれた謎、前作に引き続いての昨今流行のミステリー。その点では、読者を裏切らない。いや、親友の死を発端とする今回は、ベンを突き動かす情動が明確で、そして喪失に伴う哀しみも大きい、前作より中身の濃い作品となっている。

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 以下は、ネタバレです。文字色を白くしてありますので、読まれるときは選択して反転させて読んでください。

 後半で「アレ?」と思う場面がありました。ベンは敵の本拠に数人からなるチームで乗り込んで行きます。「ぼくはパートナーを使わない」と明言し、その言葉通りにいつも一人でミッションを遂行していたのに。
 しかもそのチームは、自分が訓練した元部下はともかく、その時に組んだ政治家が警備に雇っていた元兵士たちまでいるのです。大掛かりな作戦だから、ということなのでしょう。しかし、「他人を危険な目にあわせられない」「信じられるのは自分だけ」という両面の理由から、たった一人で困難に挑むのが、ベンのパーソナリティだと思っていたので、違和感を感じました。

 それから...この終わり方は悲しすぎる。

 
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