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2010年11月

2010年11月28日 (日)

本好きのためのSNS「本カフェ」フリーペーパー

honcafefp.jpg 私が参加している、本好きのためのSNS「本カフェ」で、フリーペーパーを発行しました。右の表紙イメージからPDFファイルにリンクされています。ぜひ、ご覧ください。

 今回は、私は制作に参加していないのですが、メンバーの有志がそれぞれの持ち味を生かして1つの形あるものを作り上げることができました。表紙のイラストは、何人もの人の作品をコラージュしたものです。こじんまりしたSNSですが、管理人のジーナフウガさんの人柄と熱心さによって連帯感が生まれた居心地のいいSNSです。

 印刷した紙のフリーペーパーは、これもメンバーの有志が、書店や図書館などの自分の身近の場所にお願いして置いてもらっています。と言っても、非常に限られた部数しか設置されていないので、もしどこかで見かけたなら、それは「超々レア物」です。必ず「こんなところで見つけるなんて超ラッキーだ」と一声あげてから手にとってください(笑)

 
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2010年11月27日 (土)

名もなき毒

著  者:宮部みゆき
出版社:幻冬舎
出版日:2006年8月25日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「小説家には2種類しかいない。宮部みゆきと、それ以外だ」 林真理子さんが大沢在昌さんの創作だとしておっしゃった言葉だそうだ。そのくらい著者の作品は売れている、ということらしい。直木賞、日本SF大賞、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞と、受賞歴も華々しい。しかし、私には縁がなかったのか本書が初読。ちなみに本書は吉川英治文学賞受賞。

 主人公は杉村。国内で指折りの一大グループ企業「今多コンツェルン」の会長の娘婿で、義父の会社で社内報を作る編集部に勤めている。著者の前作「誰か」の主人公でもあるらしく、本書にもその時の事件への言及もあるが、物語は独立しているので本書だけ読んでも問題はなかった。
 物語の発端は、犬と散歩していた老人が、コンビニで買ったウーロン茶に混入された青酸性の毒物で殺害された事件。連続無差別毒物殺人事件の4人目の被害者とされた。杉村は、部下のアルバイト絡みのトラブルから曲折を経て、被害者の娘と孫と知り合い、毒物殺人事件に巻き込まれていく。

 面白かった。スラスラと読めた。物語の大きな軸が、毒物殺人事件の犯人探しと、杉村に降りかかってきたアルバイト絡みのトラブルの解決との2本あって、それが絶妙に組み合わさっている。タイトルにある「毒」にも複数の意味合いが込められている。さすがは「売れっ子作家」の作品。
 ただ、スラスラと読めすぎる感じは否めない。登場人物のほとんどが、警察でも探偵でさえない杉村に協力的なので、事件が一方向に解決に向かっていく。大会社の会長の娘婿ゆえの苦労も危険もあるとしても、やっぱり「逆玉」の主人公へのやっかみが、そう思わせるのかもしれないけれど。

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2010年11月24日 (水)

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

著  者:リリー・フランキー
出版社:扶桑社
出版日:2005年6月30日 初版第1刷発行 8月20日 第5刷行
評  価:☆☆☆(説明)

 2006年の本屋大賞第1位。その後、テレビで単発ドラマになり、連続ドラマになり、映画化され、2008年2月には日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞。本書自体は200万部超のベストセラーになっている。どうやら2006年から2007年にかけて、大きな話題になっていたことが想像されるのだが、私はタイトルと著者の名前以外、この本のことを全く知らなかった。知らないまま、読み始めた。

 本書は、著者の37才までの半生を綴ったもの。タイトルの通り、その多くをオカン(お母さん)と過ごし、時々オトン(お父さん)と過ごしている。何も知らないまま読んでいると、半分まで読んで「この調子で最後まで行くのか?」と、付き合いきれない気持ちになった。
 著者の子ども時代から、東京で少し稼げるようになるまでが綴られているのだが、他人の「自分史」の常で面白くない。いや、著者も家族も良く言えば豪放で、悪く言えばハチャメチャで、時には笑えるのだけれど、基本的に他人事だから「何でこんな話を読んでるんだろ?」との思いが抜きがたかった。

 それが、後半を読むと、著者が本書を記そうとした意図や、ベストセラーやアカデミー賞につながる評価の理由が分かるようになる。本書には著者のオカンに対する感謝と愛がこぼれんばかりに満ちている。とても良い話だ。
 ただ他人さまの「母への愛」をドラマにしたり映画にしたりして、みんなで鑑賞して「感動をもらった」なんて言うのはどうなんだろう?何かこうプライベートな機微に触れるような居心地の悪さを感じるのは、私がひねくれているからだろうか?

 この後は、ちょっと思ったことを書いています。お付き合いいただける方は、どうぞ

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2010年11月20日 (土)

博士の愛した数式

著  者:小川洋子
出版社:新潮社
出版日:2003年8月30日 発行 9月25日 3刷
評  価:☆☆☆(説明)

 2004年の、つまり第1回の本屋大賞第1位。2006年には映画化され興行収入12億円のヒット作となった。実は映画は前に見ていて「今さら」感を感じるのだけれど、本でも読んでみたくて手に取った。

 事故の後遺症で記憶が80分しかもたない数学者の「博士」。その家に家政婦として派遣された主人公の「私」。彼女は毎朝玄関で「新しい家政婦さん」として、博士に迎えられる。そして、博士は数学の話でしかコミュニケーションを取れない。「私」との初めての会話は「君の靴のサイズはいくつかね」だ。

 「私」の靴のサイズは24なのだけれど、それに何の意味があるのか?(そりゃ「足の大きさを表す」という意味はあるのだけれど)博士にかかれば24は「潔い」数字なのだ。何故なら4の階乗(1×2×3×4)だから。...「潔いかな?まぁそれで?」と思う人もいるだろう。
 しかし「私」の誕生日の2月20日の220と、博士の時計に刻まれたナンバーの284が「友愛数」と呼ばれる、滅多に存在しない組み合わせで「神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字」だ、という場面では、2つの数字にロマンチックなものを感じないではいられないだろう。

 本書とその映画がヒットした理由の一つに、このような数字のウンチクと面白さがあるのは否定しない。しかしそれは本書の魅力の入り口であり表層的なものだ。時に滑稽に見えてしまう博士の所作の裏にある、ひたむきさや子どもへの愛情と、それを感じることができる「私」との出会いと交流こそが本書の核心だと思う。

 ※映画やテレビなどを先に観ると、本を読んでいて、かなり鮮明に映像が浮かび上がってきます。今回は、寺尾聰さんと深津絵里さんがずっと会話していました。

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2010年11月17日 (水)

のぼうの城

著  者:和田竜
出版社:小学館
出版日:2007年12月3日初版第1刷 2008年7月22日第11刷 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 2008年上半期の直木賞候補、2009年の本屋大賞第2位。映画化され2011年秋公開予定。何とも華やかな経緯を辿っているが、本書は著者のデビュー作。

 時は天正18年(1590年)、織田信長が本能寺で討たれて8年。天下の西半分を手中に収めた豊臣秀吉が、関東の大家である北条氏を攻略しようとしていた時。所は武州忍城。今の埼玉県行田市にある、北条氏に当時は臣従していた成田氏の居城だ。
 物語は、石田三成を総大将とする2万3000の兵を、武士の数ならわずかに500人、戦力となる領民をあわせても2600人で迎え討った忍城の籠城戦を描く。そう、この物語は史実を基にしている。豊臣秀吉、石田三成、大谷吉継ら大坂方の武将はもちろん、成田長親、正木利英、甲斐姫ら忍城に籠もる面々も実在の人物だ。

 タイトルの「のぼう」とは「でくのぼう」の略。こともあろうに、忍城の総大将となる成田長親に付けられたあだ名だ。無意味に大きな身体で、何一つ真っ当にできない不器用さから、領内の農民にまで面と向かってそう呼ばれている。しかし、彼に大きな将器を感じる者もいる。戦が進むにつれて、敵に回した石田三成、大谷吉継も「果たして賢か愚か」と悩む。読者も悩む。
 寡兵で大軍に対抗し時に打ち破る。痛快物語の鉄板とも言える。そこに、勇将智将はもちろん、武勇に優れた美しい姫を加えてもまだ足りず、「でくのぼう」の総大将まで配し、エンタテイメント性も加えた。正直その年の代表作か?と言われると戸惑うが、楽しめることは間違いないだろう。映画もきっと楽しい娯楽作品となると思う。

 映画「のぼうの城」オフィシャルサイト

 この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。

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2010年11月14日 (日)

獣の奏者 外伝 刹那

著  者:上橋菜穂子
出版社:講談社
出版日:2010年9月3日第1刷 9月3日第2刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 最初の2冊(闘蛇編、王獣編)の後、出ないと思われていた(私は出して欲しいと思っていたけれど)続編(探求編、完結編)が出て、さらに(amazonの商品紹介の言葉を借りると)まさかの外伝が登場。ということで、本書は、壮大なスケールを見せて幕を閉じた、ファンタジーの大河ドラマ「獣の奏者」で、登場人物たちの語られなかった秘話を収めたもの。
 王獣編と探求編の間にあたる時期の、エリンとイアルの恋物語をイアルの語りで書いた中編「刹那」、同じく中編で、カザルムの教導師長エサルが自ら語る十代のころの想いの「秘め事」、そしてエリンとイアルの束の間の安息を描いた掌編「初めての・・・」の3編。

 外伝にしてこの読み応え。他に良い言葉を思い付かなかったので「恋物語」などと書いたが、その言葉から想像される幸せな雰囲気は「刹那」にはない。神王国の機微に触れてしまった二人にとっては、文字通りの意味で「命を賭した恋」。それでも惹かれあってしまう様が悲しい「悲恋」。時に少年のようなナイーブさを見せるイアルをエリンの強い心が支える。しかし、最後の最後にエリンと息子を守るのはイアル。互いに必要としているのだ。
 「悲恋」と言えば、エサルが語る「秘め事」もそうだ。貴族の娘として決められた相手と結婚し、決められたように生きていくことに、どうしようもなく違和感を感じていた十代。学舎で出会ったジョウンとユアンという、2人の気が合う年上の青年との出会い..。

 参った。こんな激しい恋物語を読むことになるとは、本を開いた時には思いもしなかった。著者には失礼な話だけれど、途中で「有川浩さんの作品か?」と錯覚した。著者のあとがきによれば「自分の人生も半ばを過ぎたな、と感じる世代に向けた物語になった」そうだ。平均寿命から考えると、私も少し前に分折り返しを点を回ったことになる。どうりでエサルの昔語りが胸に痛いわけだ。

 コンプリート継続中!(単行本として出版された小説)
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2010年11月10日 (水)

上と外

著  者:恩田陸
出版社:幻冬舎
出版日:2003年2月27日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆☆(説明)

 私は本当に怖い話は苦手なので、ホラーを手に取らないように気をつけて、数多くの著者の作品の中から選んで読んでいる。本書は表紙の絵が「ドミノ」のイラストにテイストが似ていて(どちらのもどなたのイラストか分からないのだけれど)、図書館で見かける度に、いつか読もうと思っていたのだけれど、510ページの2段組の分量に怯んで、なかなか手を出せないでいた。
 分量が多いのも当然で、本書は2000年8月から1年間に亘って隔月で発刊された6冊の文庫シリーズを合本したもの。ちなみに、出版社は2003年に出したこの単行本の後に、上下巻にして再び文庫版を出している。きっと評判が良かったのだろう。(右のamazonリンクは文庫版、単行本の新品がなかったので)

 読み終わって「2段組だろうが510ページだろうが、もっと早く読んでいれば良かった」という気持ちになった。出版社がこれをもう一度文庫にした気持ちが分かる気がする。エンタテイメントに徹した結果、話が急展開したかと思うと焦らしたり、今度は強引に突き進んだりと、著者に振り回されっぱなしなのだけれど、すごく面白かった。

 主人公は中学生の楢崎練、妹で小学生の千華子、父で考古学者の賢、母で化粧品会社の広報ウーマンの千鶴子の4人家族。実は、賢と千鶴子は既に離婚して、千鶴子は千華子と暮らし、賢が考古学の研究のために外国で暮らしているので、練は祖父の家で伯父や従兄弟たちと暮らしている。つまり普段はバラバラなのだ。
 そして主な舞台は中米のG国。賢がいる国に夏休みを利用して4人が集まった。久しぶりの再会。賢がマヤ文明の遺跡を案内して、楽しい家族旅行になるはずが、とんでもない事件が起きる。ストーリーを言ってしまうわけにはいかないので順不同でキーワードを。クーデター、ジャングル、成人式、地下迷宮、風船、ロッククライミング、金型工業。涙腺の弱い方は注意。

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2010年11月 6日 (土)

失われた町

著  者:三崎亜記
出版社:集英社
出版日:2006年11月30日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 私がいつも拝見している読書ブログのいくつかで、しばらく前に紹介されていたのを覚えていて、今回手に取った。我ながらあきれたことに、紹介記事は読んだはずなのに、本書を前にして、著者のことも、どんな物語なのかも、どういう評価だったのかさえ覚えていなかった。それでも何か惹かれるものがあって読み始めた。

 私には、すごく面白かった。「私には」とわざわざ付けたのは、これはダメな人には徹底的にダメだろう、と思ったからだ。その理由は、本書の独創性にある。ジャンル的にSF、恋愛小説、サスペンス、ミステリー、ヒューマンドラマ、本書はこれらの境界にあって、何か1つのものだと思うと非常に宙ぶらりんな感じなのだ。
 また、「町が消滅する」という設定はともかく、「消滅耐性」「別体」「余滅」など、独創的な設定と造語が多い。それが、冒頭の「プロローグ、そしてエピローグ」という章に頻出するのだから「ついていけない」と思う人もいるはず。実際、私も面くらってしまった。
 しかし、ここで挫けずに先へ進もう。章題で分かるように、これはエピローグでもある。すべてが終わった後にここに戻ってくる。その時にはちゃんと分かる、もっと感慨深いシーンとなっているはずだ。

 物語の舞台は、日本によく似た別の場所。そこではおおよそ30年に1度、町が消滅する。正確には、その町の人間だけが忽然と消える。どうしてなのか、消えた人たちはどうなるのか、そういったことは分からない。その他大勢の人々は、消えた町のことは禁忌として扱い、自分とは関係ないと思うことで、この不気味な出来事と折り合いをつけている。
 本書の主人公たちは、多くの人が関わりを避けようとする中、「町の消滅」に立ち向かう人たちだ。消滅を予知・対処する「管理局」の桂子、消滅の防止を研究する由佳、消滅した町を見下ろすペンションで働く茜。これ以外にも多くの人が、それぞれの立場で「次の町の消滅」に立ち向かって生きている。
 とは言っても、本書は「町の消滅」の防止の実現を描いたサクセスストリーではない。消滅によって大切な人を失った、残された人々の「喪失」と「回復」を描く。人は大声で泣いて悲しむことを経て、「喪失」から立ち直るものだと思うが、実はここの人々は失った人を悲しむことを、ある理由から禁じられている。悲しむことさえ許されない、残された人々の悲しくも力強い物語。

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2010年11月 4日 (木)

モーツァルトの陰謀

著  者:スコット・マリアーニ 訳:高野由美
出版社:エンジン・ルーム/河出書房新社
出版日:2010年10月30日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 発行元のエンジン・ルームさまから献本いただきました。感謝。

 以前に読んだ「消えた錬金術師 レンヌ・ル・シャトーの秘密」に続く、「ベン・ホープ」シリーズの第2弾。主人公ベン・ホープは、長身でブロンドの髪の英国陸軍特殊空挺部隊の元精鋭。過去の悲しい出来事の影響もあり、誘拐された子どもの救出を生業としている。子どもを誘拐するような連中が相手であるから、銃の引き金を引くのに躊躇はしない。鋼のように強い精神力の持ち主なのだが、どこか影と脆さが漂う。

 そのベンにも一時は心を許し将来を考えた女性がいた。軍隊時代からの親友オリバーの妹で、今は有名なオペラ歌手になっているリーだ。15年前にベンはリーの許を黙って突然去った。1年ほど前にオリバーが亡くなって、その葬儀でベンはリーを見かけたが声をかけることができなかった。しかし、リーの方からベンに連絡があった。「ベン、わたし怖いの。お願い、できれば、すぐに来て」と。

 前作は伝説の錬金術師の手稿を求める探索行を描いたが、今回の物語は、モーツァルトが遺した最後の手紙をめぐる探索行、いや逃避行だ。オリバーの死には不可解な点があり、その死に関わると思われる組織は、確実にベンとリーを捉えていた。逃げても逃げても狙いすましたように襲撃を受ける。

 秘密結社、冷酷な殺人鬼、美貌のパートナー、歴史に埋もれた謎、前作に引き続いての昨今流行のミステリー。その点では、読者を裏切らない。いや、親友の死を発端とする今回は、ベンを突き動かす情動が明確で、そして喪失に伴う哀しみも大きい、前作より中身の濃い作品となっている。

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