« 「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために | トップページ | 新世界 国々の興亡 »

2010年10月23日 (土)

小惑星探査機 はやぶさの大冒険

著  者:山根一眞
出版社:マガジンハウス
出版日:2010年7月29日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 職場の同僚が「是非読んでほしい」と言って貸してくれました。感謝。

 小惑星「イトカワ」への往復60億キロ7年間の旅を終えて、今年6月13日に地球に帰還し、「イトカワ」で採取した試料が入っている可能性がある「カプセル」を残して大気圏で燃え尽きた、小惑星探査機「はやぶさ」。本書はその打ち上げ前から帰還後までを、ノンフィクション作家の著者が多くの関係者の取材を基に記録したものだ。

 「素晴らしい」の一言に尽きる。何がかと言うと「はやぶさ」のプロジェクトに関わった、川口淳一郎プロジェクトマネージャ他の技術者・スタッフの皆さんが、だ。何という技術力、何という創意工夫、そして何という粘り強さだろう。望んでも手に入るものではないと思う。
 そして、この記録を7年前から取材を続けて、本書を著した著者にもありがとうと言いたい。私など、7年間何も知らないでいたのに、最後になってチャッカリと感動だけを分けていただいて申し訳ないぐらいだ。チャッカリしているのは私だけでなく、世間一般がそうだったようだ。朝日新聞の記事を「はやぶさ and 小惑星」で検索すると、打ち上げの2003年5月の記事数はわずか7、イトカワ到着の2005年11月は23、帰還したこの6月以降は173件。成功のニュースを聞いて初めて注目した、ということだ。

 実は「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」というブルーレイの映像を前に見たことがあり、そこでは「はやぶさ」のことを「彼」と擬人化して呼んでいた。私は、それに少なからず違和感を抱いていた。感傷的にすぎる、と。しかし、本書を読んで「はやぶさ」を「彼」と呼ぶ気持ちがよく分かった。
 度重なる不調はもちろん、連絡が全く途絶えたことさえある。その度に何億キロも離れた「はやぶさ」に地球から呼びかける。それ応えて途切れ途切れに信号が返ってくる様子は、正に「意思をもった「はやぶさ」が答えている」としか思えない。
 そして、イオンエンジンが、リアクションホイールが、1つずつ故障し、復路ではメモリやDHUという頭脳にあたる部分までが、崩れるように機能を低下させる。満身創痍で地球を目指した「はやぶさ」を知ってなお特別な感情を持たない人は少ないだろう。

 ※カプセルの中にイトカワ由来の物質が入っていたかどうかが、今後の注目点になるだろう。しかし「はやぶさ」は「小惑星に行って帰って来る」ということ以外にも、数多くの「世界で誰も成し得なかった」数々のことをすでに実現している。本書はそうしたことも伝えてくれる。

 参考:JAXA:「小惑星探査機「はやぶさ」ついに地球へ帰還!」

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「小惑星探査機 はやぶさの大冒険」 固定URL | 5.ノンフィクション

« 「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために | トップページ | 新世界 国々の興亡 »

5.ノンフィクション」カテゴリの記事

コメント

こんにちは!オクーと申します。トラックバックさせてもらいました。あまりやらないので、何度も送ってしまいましたが大丈夫でしょうか?すみません。
「はやぶさの大冒険」、山根さんならではの徹底取材がよかったですね。改めてはやぶさとスタッフのすごさを実感できました。

投稿: オクー | 2010年10月23日 (土) 15時56分

オクーさん、コメントありがとうございました。

トラックバックのことですが、他のFC2ブログからもトラックバックが
受けられていなくて、現在ココログとFC2それぞれで調査してもらっています。
ただ、解決のメドは立っていません。

ですので、私の方には何の迷惑もかかっていないので、ご安心ください。
逆に、何度も送っていただたのに反応なしで申し訳ないです。

山根さんには、「メタルカラーの時代」の1冊目が出たころに、仕事で講演を
お願いして、お会いしたことがあります。PCでのプレゼンがまだ「当たり前」
ではなかったころで、変換ケーブルや延長コードまで一式持ってこられて
「どんな事態にも対応できるように」とおっしゃってました。
 

投稿: YO-SHI | 2010年10月23日 (土) 18時03分

オクーです。そうなのですか、いろいろあるのですね。
トラックバック自体あまりやらないのですが、
「はやぶさの大冒険」が出たので、お〜、と思いやってみました。
このブログはお気に入りに入れて毎日チェックしています。
僕が読まない分野もお読みなのでいろいろ参考になります。
これからもどうぞよろしく!!

投稿: オクー | 2010年10月23日 (土) 23時06分

突然のご連絡失礼いたします。
“My”アフィリエイト スカウト事務局の松嶋と申します。

私はNTTコミュニケーションズが運営する“My”アフィリエイトの広告プログラムを優良サイト様へご紹介する活動をしております。

貴サイトを拝見し、大変充実した内容だと感じました。
ぜひオススメの商品・サービスに関連する広告バナーの掲載にご協力いただけないでしょうか。
詳細をご覧いただいてからご判断いただいて構いません。
特典もありますので、ご興味がございましたら以下のURLから詳細をご確認いただければ幸いです。

http://www.affiliate.ntt.com/topics/scout/
※申込フォームには下記の情報をご入力ください。
エントリーコード『168』 、サイトURL『http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/』
※11/8までに広告掲載にご協力いただいた方が特典対象となります

この度の連絡で不快な思いをされた方には大変申し訳ございません。お詫び申し上げます。

投稿: “My”アフィリエイトスカウト事務局 | 2010年10月27日 (水) 20時08分

“My”アフィリエイトスカウト事務局さま、コメントありがとうございます。

耳寄りな情報をありがとうございます。検討してお返事したいと思います。

投稿: YO-SHI | 2010年10月28日 (木) 15時07分

YO-SHI 様
こんばんわ。年末のお忙しい中をお邪魔します。
「はやぶさ」は何といっても2010年日本の一番ネタですね。
奇跡の帰還劇もさることながら、イトカワの素粒子が100個以上も発見された
とのことで、今後の研究が本当に楽しみです。
ブログを読んで感動を思い出し、思わずコメントしてしまいました。
今年もカウントダウンですが、良いお年をお迎えください。
それでは、失礼します。

投稿: 人生楽しみ | 2010年12月31日 (金) 17時37分

人生楽しみさん、コメントありがとうございます。
 
そうですね、今年一番の明るいニュース、というか数少ない明るいニュースの一つでした。
日本もまだまだいける!と思わせてくれました。
 
それでは、よいお年をお迎えください。

投稿: YO-SHI | 2010年12月31日 (金) 19時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小惑星探査機 はやぶさの大冒険:

» 甲府で「はやぶさ」展開幕 [ローカルニュースの旅]
小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰ったカプセルなどを紹介する特別展が、甲府市総合市民会館で始まった。展示は3月16日まで。 [続きを読む]

受信: 2011年3月15日 (火) 11時48分

« 「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために | トップページ | 新世界 国々の興亡 »