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2010年9月 1日 (水)

コッペリア

著  者:加納朋子
出版社:講談社
出版日:2003年7月7日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者の作品を読むのはこれで7作目。これまでは連作短編か短編集だったが、本書は長編作品。また、「日常に潜む謎」を描いたこれまでとは違って、本書が描くのは日常から薄いヴェールで隔てられたような非日常。タイトルの「コッペリア」は、からくりで動く人形とそれに恋する青年が登場するバレエ作品の名前。本書も人形の存在が物語の大きな位置を占め、人形に恋した(執着した?)男性が登場する。

 主な登場人物は、人形に心を奪われてしまった青年の了、その人形を作った人形師のまゆら、まゆらのパトロンである創也、まゆらが作った人形にそっくりな劇団女優の聖、の4人。物語は、了と聖を1人称とした章が交互にあり、その間にまゆらと創也について語る3人称の章が挟まる形で進む。

 人形というのは、人の心をざわつかせる。しかもまゆらがつくる人形は、人肌そっくりの艶かしい質感とガラスの目を持った人形。それが、家の裏手に打ち捨てられてあったのだから、了がその人形に心を奪われたのもムリはない。
 そして、了がその人形と瓜二つの聖と出会い、創也も聖と出会い、聖はまゆらの個展に行って自分そっくりな人形と出会い、といくつもの遭遇が重なって、物語は複雑に進展していく。さらに著者は、ミステリ作家らしい仕掛けを施している。私は、人形が放つ妖しさに気を取られていて、まんまと騙されてしまった。

 余談であるが、私は学生のころマネキン会社の倉庫で短期バイトをしたことがある。けっこうリアルなマネキンで、至るところにその頭部、手足、胴体が積んであった。1日中その中にいると、生身の人間の一部と錯覚するようなこともあって、妙な昂ぶりを感じたことを覚えている。

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