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2010年8月12日 (木)

日本人へ 国家と歴史篇

著  者:塩野七生
出版社:文藝春秋
出版日:2010年6月20日 第1刷 6月30日 第3刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 先日レビューを書いた「日本人へ リーダー篇」の続編、というより1ヶ月をあけて発行された上下巻の下巻といった方が的確だろう。「リーダー篇」が月刊誌「文藝春秋」の2003年6月号から2006年9月号までに掲載された著者のエッセイで、この「国家と歴史篇」はそれに続く2010年4月号までに掲載されたものだからだ。

 約4年前の2006年9月と10月を挟んで、それ以前と以後でこんなにも臨場感が違うものかと驚いた。前著に比べると本書は圧倒的な迫力で迫ってくる。もちろんそれは、前著は著者の筆が鈍かったということではなく、物事が人の(私の)関心から急速に遠ざかってしまう、ということなのだろう。
 そういうわけで、2冊とも読むに越したことはないけれど、どちらか1冊ということであれば、本書の方をオススメする。

 マキアヴェッリをよく引き(本書の扉のページも、マキアヴェッリの言葉の引用が記されている)、リアリストでもある著者の主張は、時に切れすぎて怖いぐらいだ。特に戦争や軍備についての考えは、私には受け入れられない。
 しかし、著者の考えの方が正しいのかもしれない、と気持ちが揺らぐ。前著で著者が明らかにしているのだが、この連載は「事後に読まれても耐えられるものを書く」という気概で書かれている。そして事後に読んで「あぁ、そのとおりだった」、と思う記事のなんと多いことか。
 例えば、民主党への政権交代の雰囲気が盛り上がっていた、2009年4月号の「拝啓・小沢一郎様」では、「単独で過半数を..」と期待と不安を口にしている。理由は、連立内閣では「小政党に引きずられる、有権者の意向の反映しない政治」になるから。異論はあろうが、民主党政権の約1年のある側面を見事に言い表している、と私は思う。

 「文藝春秋」の2010年8月号掲載のエッセイのタイトルは「民主党の圧勝を望む」。理由は昨年9月の記事と同じものに加え、政策の継続性のため。著者としてはここ2回の国政選挙は続けて期待を裏切ったことになる。

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