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2010年6月 5日 (土)

床下の小人たち(「借りぐらしのアリエッティ」原作)

著  者:メアリー・ノートン 訳:林容吉
出版社:岩波書店
出版日:1993年8月6日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 英国ファンタジーの名作ながら、「指輪物語」や「ナルニア国物語」ほどには知られていなかったように思う。しかし、昨年末ぐらいから話題になることが飛躍的に増え、あと1ヶ月すれば状況はガラッと変わっているだろう。本書を原作としたスタジオジブリ作品「借りぐらしのアリエッティ」が、7月17日に公開されるからだ。

 アリエッティは13才の女の子、お父さんのポッドとお母さんのホミリーと3人で暮らしている。英国の田舎の古い家の台所の床下で。そう、アリエッティたちが「床下の小人」なのだ。そして彼女たちは、食べ物や家具や道具など、暮らしに必要なものは何でも、床の上で暮らす人間たちから「借りて」来る。たんすはマッチ箱、いすは糸巻き、壁の肖像画は切手、じゅうたんはすいとり紙、といった具合。だから「借りぐらし」。
 一つの家の中で暮らしていても、人間たちは小人たちのことを(基本的には)知らない。人間たちに見られると、猫を飼われたり煙で燻されたりして危険なので、小人たちは外へ「移住」しなければならなくなる。そもそも借りに行くこと自体が危険な仕事なので、それはお父さんのポッドの役目、勇気と技術が必要なのだ。

 ただ、不思議に思いながらも小人の存在を受け入れてくれる人間もいる。それは、おばあさんと子ども(おばあさんの方は、自分の幻覚だと思っているんだけれど)。この家には療養のために預けられた9才の男の子がいて、前半はアリエッティたちの暮らしぶりが描かれ、中盤以降はこの子とアリエッティたちの交流が描かれる。そしてもちろんハラハラドキドキの事件も..

 スタジオジブリ作品の原作にピッタリな物語だった。宮崎駿さんが40年近く前から企画を温めていたというのもうなずける。ほのぼのとした「借りぐらし」に起きる小さな事件や冒険、子どもとの交流、そして大きな事件が物語を盛り上げる。
 さらにキャラクターが魅力的だ。ポッドは頼もしいお父さんであり、ホミリーはやさしくも気丈なお母さん。協力して生きていく姿には、理想的な家族の絵が映る。スタジオジブリの手によってさらに磨きがかかって、どんな素敵な物語になるのか楽しみだ。

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コメント

楽しそうな本ですね^^
内緒ですが、学生の頃は、本当に小人がいると思っていました^^;
(今でも密かに・・・)
私は佐藤さとる氏の「コロボックル物語」のファンで、読みあさってましたね~。
小人とか、妖精とかって、心を惹き付けるものがあります。
だから、ピーターパンのティンカー・ベルも好きなのかなぁ^^

ジブリ作品はあまり観たことがないのですが、「借りぐらしのアリエッティ」は楽しみですね♪

投稿: れもん | 2010年6月 5日 (土) 21時16分

「借りぐらしのアリエッティ」は原作があったんですか。
これは私も読んでみたいです。

投稿: masa_w | 2010年6月 5日 (土) 22時20分

はじめまして、こんばんは。
昨日映画館に行きまして、ジブリの新作パンフをもらってきました。床下の小人たち。楽しみです(^^)

投稿: 50代べテランママ | 2010年6月 6日 (日) 21時10分

れもんさん、コメントありがとうございます。

「コロボックル」は私も好きでした。確かシリーズ全部を自分の小遣いで
買って読んだ記憶があります。
何年か前に、子どもを連れて図書館で「だれも知らない小さな国」を
借りようとした時にも、司書の方が「昔はたくさんの子どもが借りて
くれたんですけどね...」とおっしゃってました。

----

masa_wさん、コメントありがとうございます。

今調べてみたら、スタジオジブリの長編映画作品は、オリジナルと
原作モノが半々ぐらいなんですね。
「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など、
評判の良かった(と私が思っている)作品はオリジナルが多いですね。
原作がある「ゲド戦記」は評判が悪いですが、今回はその轍を
踏まないで、楽しい作品に仕上がっているといいですね。

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50代べテランママさん、コメントありがとうございます。

パンフレット、私も欲しい。ローソンにもあるらしいですね。
 

投稿: YO-SHI | 2010年6月 7日 (月) 14時01分

こんばんは。
本カフェから来ました。まだ「借りぐらしのアリエッティ」観ていないので、
面白そうな「床下の小人たち」を先に読んでからにしようかと思います。

投稿: ポポロ | 2010年9月 5日 (日) 01時47分

ポポロさん、コメントありがとうございます。

私も映画はまだ観てないです。評判もあまり聞かないので映画は
良し悪しが分かりませんが、原作のこの本はなかなか面白かった。

是非読んでみて、感想を教えてくださるとうれしいです。
 

投稿: YO-SHI | 2010年9月 5日 (日) 14時52分

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「借りぐらしのアリエッティ」★★★★ 志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、三浦友和、樹木希林 声の出演 米林宏昌監督、94分 、2010年7月17日公開、2010,日本,東宝 (原題:原作・床下の小人たち )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「ジブリ作品は最初から高いハードルが目の前にあり、 見る側もそれ相当の「何か」を求めて劇場へ行く、 いまひとつ、という感想を聞いてい... [続きを読む]

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