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2010年6月30日 (水)

東京島

著  者:桐野夏生
出版社:新潮社
出版日:2010年5月1日 発行 6月5日 2刷
評  価:☆☆☆(説明)

 書店に行って目当ての本を持ってレジに向かう途中、目の端に本棚からこちらを見つめる目が見えたので、見返してみると浅く日焼けした木村多江さんだった。そう、本書は木村多江さん主演で映画化され、今年の8月28日公開予定だ。著者は様々な賞を受賞されていて、本書も2008年に谷崎潤一郎賞を受賞。実力派の作家さんだが、私は木村多江さんが取り持つ縁で初めて読んだ。

 主人公は46歳の主婦の清子。夫と二人でクルーザーで世界一周の旅に出るが嵐に遭い、無人島に漂着する。最初は二人だけのサバイバル生活であったが、その後も漂着する者が続く。そして、物語はこうした出来事の後、清子と夫の漂着から5年が過ぎたある日から始まる。
 最初の1文は「夫を決める籤引きは、コウキョで行われることになっていた」だ。冒頭から常識を揺さぶられる展開。この時「トウキョウ」と名付けられたこの無人島の人口は32人。清子を除く全員が男だ。外界から遮断された閉じ込められた空間に男31人と女1人。良識ある大人はなるべく考えないようにするもののどうしても考えてしまう、アッチ方面の出来事がすでに起きている(すみません。回りくどくて)。

 この本には参った。清子は様々な出来事に遭遇し、その度に選択というか決断を迫られるのだが、それがことごとく剥き出しの本性を感じさせ、私を不安定な気持ちにさせる。「道徳的」という言葉からは最も遠い位置にある行い。しかし、不思議に責める気持ちにはならない。生きるために助かるために、というギリギリの場面では、これが「人間らしい」ということなのかもしれない。そして、その行いの結果が知りたくなって、ページをめくることになる。

 読んでいて、木村多江さんが清子を演じるのはどうかと思った。ご本人が冗談まじりに認める「薄幸」が似合う女優さん。とびっきりの美人ではないが(失礼!)、清楚な雰囲気が好きなファンも多いだろう(私もその1人。帯の小さな写真を見て本を買ってしまうほど)。
 だから似合わないし、やって欲しくないと思ったのだ。ただ、映画の公式サイトには「極限状態の人間のダークな欲望を描いた原作を、生への希望に満ちたサバイバル・エンタテインメント作品に昇華させた」と書いてあった。なるほど、そういうことか。

 この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。

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コメント

YO-SHIさん こんにちは。

映画になるのですね。しかも、木村多江さんで!
主人公の印象は、木村多江さんとはかけはなれてる!と思います。(やっぱり木村多江さんは不幸が似合う…と私は思います。)
でも、公式サイトの映像を見たら悪くはなさそうな感じもします。DVDになったら見てみようかな…。

投稿: たかこ | 2010年7月 4日 (日) 13時11分

たかこさん、コメント&TBありがとうございます。

おそらく映画は原作とは印象が違うものになっているんでしょうね。
原作のままよりもその方が、私としては好ましいというか、安心して
観ることができそうです。
桐野さんの原作ファンは、また違う考えなんでしょうが。
 

投稿: YO-SHI | 2010年7月 5日 (月) 10時32分

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