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2010年4月14日 (水)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

著  者:万城目学
出版社:筑摩書房
出版日:2010年1月25日 初版第1刷 3月10日 第3刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「鴨川ホルモー」や「プリンセス・トヨトミ」で、奇想天外な設定で笑わせたり、呆れさせたりしてくれた著者の次なる作品は、ほのぼのとしてちょっと切ないファンタジーだった。タイトルになっている、かのこちゃんは小学校1年生の女の子、マドレーヌ夫人は外国語を話すメスの赤トラの猫だ。
 かのこちゃんは、お父さんとお母さんと暮らし、犬の玄三郎を飼っている。ある豪雨の日に、マドレーヌはやってきた。そのままかのこちゃん家に住み、玄三郎と夫婦になった!?マドレーヌ夫人が話す「外国語」とは、犬の言葉。正確には玄三郎の言葉が分かる。

 第1章と3章はかのこちゃん、2章と4章はマドレーヌ夫人の視点から描かれている。かのこちゃんの元気さが微笑ましい。かのこちゃんは、難しい言葉で変な響きを持つものが好きだ。「やおら」とか「すこぶる」とか「いかんせん」とか「ふんけーの友(刎頚の友)」とか。
 そんな中で「茶柱」のエピソードは出色だ。かの子ちゃんがもう少し成長していたら、このエピソードは生まれなかっただろう、小1限定と言える。これは「はなてふてふ」とともに、著者のユーモアが垣間見られる部分だ。まぁ、これじゃ何のことか分からないと思うが、詳しい説明は控えるので読んで確かめて欲しい。

 そしてマドレーヌ夫人は、実に優雅で愛情深い。昔から物語に度々登場する「猫の集会」が、この物語でも重要な場面なのだけれど、そこでも一目置かれる存在だ。そして、仲間や玄三郎やかのこちゃんを想う心と行動に心洗われる思いがする。
 対するかのこちゃんもマドレーヌのことを誰よりも理解している。1人と1匹が、人間と猫という関係よりほんの少し近づいた触れ合いを見せる感動物語。本書が属する「ちくまプリマー新書」は、中高生対象の新書シリーズだそうだ。確かに中高生に読んでもらいたい本だ。

(2010.4.17追記)
本好きのためのSNS「本カフェ」でお友だちになった、ひゅうさんに教えていただいたのですが、本書についての著者のインタビューのポッドキャストがありました。なかなか楽しくてためになる話でしたよ。
ラジオ版 学問ノススメ Special Edition 「2010年3月28日放送分」

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コメント

YO-SHIさん、こんにちは~♪

うぐぐ、またもやTBがエラーになってしまいます。(泣)
この本は絶賛している方が多くて期待して読んでしまったからか、私はあまり…という感じでした。(^^; 私自身ちょっと子供を苦手としているので、子供の可愛らしさだけで読ませるような話は好印象になりにくい人なんです。(苦笑)動物界のストーリーと人間界のストーリーが少し接点はあるものの、交わることなく別々だったのが私は物足りなく感じてしまいました。もっと動物と人との交流が描かれていると動物好きとしては、ぐっとくるものがあったのですけども。(^^;ゞ
でも、友情物語としても成長物語としても良かったですよね♪

投稿: 板栗香 | 2010年6月22日 (火) 17時07分

板栗香さん、コメントありがとうございます。

TBの件、毎度申し訳ないです。どうにかできるといいんですが。

絶賛ですか。私の記事もそれに入るのかな?私としてはかなり評価が
高かったことは確かです。「はなてふてふ」がツボにはまりました。

私は、どちらかと言うと動物は苦手で、子どもは好きです。
職場でイベントの時などは、子どもがワラワラ来ます。
田舎の子どもは素直でかわいいです(そうでないのもいますが)

おっしゃる通り、その辺りが本の評価にも影響したかもしれませんね。
 

投稿: YO-SHI | 2010年6月23日 (水) 23時45分

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