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2010年4月 7日 (水)

螺旋階段のアリス

著  者:加納朋子
出版社:文藝春秋
出版日:2000年11月20日 第1刷 12月10日 第2刷
評  価:☆☆☆(説明)

 著者は、日常に潜む不思議を描く連作短編集が持ち味。「日常の不思議」を解き明かすということで言えば、本書に登場する「探偵」ほどうってつけの登場人物はいない。何しろ謎解きを専門とする職業なのだから。ただし、明智や金田一やポアロやクィーンら、難事件を見事に解決する探偵を想像してはいけない。
 本書の主人公は会社の早期退職者支援制度を利用して、脱サラして探偵事務所を開いた仁木順平。当然、そうそう簡単に仕事の依頼は来ない。来ても仁木が期待するようなハードボイルド系の依頼はない。カギを探して欲しいとか、犬を探して欲しいとか、浮気調査かと思えば「浮気してない調査」だとか。

 でも不思議を描くのが巧みな著者のことだから、もちろん話はそう単純ではない。カギ探しだってただのカギ探しではない、犬探しも浮気してない調査も、背後には全く別の事件が隠されている。解決すべきは表面に見える依頼ではなく、背後の事件の方。
 さらにこの謎を解き明かすのは仁木ではなく、フラッとこの事務所に来て居ついた、高級少女服のカタログから抜け出したような美少女の安梨沙。探偵らしくない探偵、事件の依頼にはウラがあり、お茶くみ兼務の助手にしか見えない美少女の一言が事件を解決に..と、何度もひねった筋書きが「さすが」と思わせる。しかも「ひねり」はこれで全部ではないのだからスゴイ。

 仁木と安梨沙の探偵稼業の物語をもっと読みたいと思っていたら、続編があった。「虹の家のアリス」。近々読みたいと思う。

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