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2010年3月18日 (木)

神去なあなあ日常

著  者:三浦しをん
出版社:徳間書店
出版日:2009年5月31日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者の本について、いろいろな方のブログで拝見して、読みたいと思う作品がいくつも積み重なっているのだけれど、機会に恵まれず本書が「風が強く吹いている」「まほろ駅前 多田便利軒」に続いて3作品目。ついでに言うと、本書は2010年本屋大賞ノミネート作品。

 これは面白かった。たっぷり楽しめた。主人公は平野勇気、横浜の高校を卒業したばかりだ。勉強は「全然好きじゃない」から大学に行くつもりはない、「人生決まっちゃうのかと思うと暗い気持ちになる」ので、就職するのは気が進まない。やりたいことがあるわけでもない。
 「甘ったれんじゃねぇ!」と一喝してやりたいようなヤツだけれど、担任の先生はそんな勇気の就職先を決めてきてくれた。「緑の雇用」という国の助成制度を利用して、神去村という三重県の奈良県との県境の山奥の森林組合で林業に従事することに..
 勇気が行った神去村の神去地区は住民が百人ぐらい。おしゃれなお店や娯楽施設があるわけはなく、郵便局も学校さえもない。もちろんケータイは「圏外」。こんなところの暮らしに、18才の青年にそうそう耐えられるはずがない。ところが、物語は1年後の勇気のひとり語りから始まる。

 物語が持つ雰囲気が瑞々しい。それは、林業という過酷な現場ではあっても、自然と一体となった神去の人々の暮らしが力強く活き活きしているからだ。山の神様を敬い神事を大事にした暮らし。神を身近に感じる出来事も多い。
 登場人物たちも抜群に素敵だ。勇気が居候している家のヨキは、野うさぎをタックルして捕まえ、川の大岩を動かして即席のプールを作ってしまう野生児ながら、厳しく温かく勇気を指導する。読んでいて思わず吹き出してしまう部分は、まずヨキが関わっている。
 勇気とヨキと一緒に働く「中村林業」の若い社長の清一も巌さんも三郎じいさんも、みんなおおらかで年齢とは関係なく若々しい。ヨキの奥さんのみきと、清一の奥さんの祐子と、隣の地区にある学校の先生と、若い女性がみんな美人なのはお愛嬌だ。美人ぐらいはいなくっちゃ、18才男子は生きる活力が湧かないだろうから。

(2010.9.2 追記)
9月20日から、NHK FMの「青春アドベンチャー」で、「神去なあなあ日常」のラジオドラマをやるそうです。そのことを、「ラジオドラマ「神去なあなあ日常」放送決定」という記事に書きました。

 この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。

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コメント

o(*^▽^*)oこんにちは。
この物語で、林業の大変さをしりました。それいじょうに、おもしろかった。
携帯を捨てられても、結局、適応した勇気君。想った以上に適応能力があったのね

投稿: きよ | 2010年3月18日 (木) 00時51分

きよさん、コメントありがとうございます。

そうですね、適応能力があったってことですよね。

新幹線に乗って、ローカル線に乗ってと、わけも分からずに送り出された
にしては、目的地までちゃんと行っただけで、勇気は立派だと思います。
それじゃお話になりませんが、途中で「や~めた」と言って、帰って来て
しまうこともできるんですから。
意外と、未知のことを「面白そうだ」と思う余裕もあったんじゃないか
と思います。
 

投稿: YO-SHI | 2010年3月18日 (木) 18時44分

こんにちは、松田です。
先日は誕生日にコメントありがとうございました。
わたしのブログに返信コメント書きました通り、いつでもなんでも書いてくださって
結構ですよ!
さて、わたしも三浦しをんさんは気になっていたけれど未読の作家です。
是非読むリストに加えま~~す!

投稿: 松田朋恵です | 2010年3月19日 (金) 21時47分

松田朋恵さん、コメントありがとうございます。

「いつでもなんでも」というお言葉をいただいて、とっても嬉しいです。
三浦しをんさんは、まだ3冊しか読んでいないのですが、登場人物たちが
躍動している感じがしてとても好きです。
本書と「風が強く吹いている」がオススメです。(もう1冊は直木賞受賞作で
秀作なのですが、まぁ順番を付ければ3番目ということです)
スポーツマンの松田さんには「風が強く吹いている」が合うかもしれませんね。

先日「テレビ寺子屋」の増田明美さんの回、拝見しました!
 

投稿: YO-SHI | 2010年3月20日 (土) 13時17分

『風が強く吹いている』読みました!
詳しくはブログに書きましたが、陸上経験者のわたしにはいろいろと『来る』ものがありました。

他の作品も読んでみたいと思います!

ご推薦いただき、ありがとうございました。

投稿: 松田朋恵です | 2010年5月16日 (日) 18時37分

松田さん、コメントありがとうございます。

ブログの感想も拝見しました。荒唐無稽な設定にも関わらず
気に入っていただけたようで、私も嬉しいです!

陸上経験者の目でみると、彼らの走る姿や思いに、
私とは違ったものが見えるのでしょうね。

三浦しをんさんには、面白い作品が沢山あるそうですが、
私は3冊しかまだ読んでません。
とりあえずこの「神去なあなあ日常」はオススメですよ。
 

投稿: YO-SHI | 2010年5月18日 (火) 00時32分

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受信: 2010年3月18日 (木) 09時50分

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受信: 2016年5月 2日 (月) 07時00分

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