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2009年9月30日 (水)

四畳半神話大系

著  者:森見登美彦
出版社:大田出版
出版日:2005年1月12日第1刷 
評  価:☆☆☆(説明)

 本書は2005年の書き下ろし作品だが、その前後にも連なる、モリミー作品の王道とも言える「腐れ大学生」モノ。京都という同じ場所(それも下鴨辺りから東山というごく限られた地域)、腐れ大学生という同じ個性の主人公で、こんなに幾つものアホらしくてオモチロイ物語が書けるのは驚きだ。
 いやちょっと待て。出来事の幾つかは使いまわしだし、主人公ばかりか登場する女子学生まで個性が似ている。これは、もしかしたらマンネリに陥っているのでは?という疑問がフツフツと湧いてくる。

 主人公は大学の3回生。これまでの大学生活の2年間を思い返すと、実益のあることは何一つしていない。では何をしていたのかというと、人の恋路を邪魔していた、というどうしようもないヤツ。しかし、そんな彼も大学に入りたての頃はそんなではなかった。数多くのサークルの勧誘からどこを選ぼうかと悩み、「薔薇色のキャンパスライフ」を夢見ていたのだ。
 マンネリに話を戻す。マンネリが「同じようなことの繰り返し」を表すとすれば、四話からなる本書はマンネリそのものだ。なぜなら、ここには主人公が大学3回生のときの物語が繰り返し現れるからだ。しかし、それぞれの物語は、お互いに少しねじれたように違っている。言い換えると、腐れ大学生のアホな暮らしを何度も楽しめる、という趣向になっているわけだ。

 そして、著者はある仕掛けを最終話に施してある。SFやファンタジーにはよくある設定なのだが、著者の手になると、こんなにも体臭が臭ってきそうな話になるかと思う。いやいやこれでこそモリミーなのだ。マンネリだろうがなんだろうが、オモチロければ良いのだ。

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「四畳半神話大系」 固定URL | 23.森見登美彦

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23.森見登美彦」カテゴリの記事

コメント

ご訪問ありがとうございます><
森見作品はまだまだ読み始めたばかりなのですがとても面白くて最近はまっています!
次は是非、「有頂天家族」読んでみようと思います。

読書がとても好きなので、読んでてすごく参考になるblogだなと思いました。
また拝見させてください。よろしくお願いします。

投稿: ぽっとりー | 2009年10月 4日 (日) 19時22分

ぽっとりーさん、コメントありがとうございます。

ぽっとりーさんがお読みになった森見作品は、たしか
この「四畳半神話大系」と「夜は短し~」でしたね。
この2冊と森見さんの口調がお好きとなれば、他の本も
楽しめると思います。
「有頂天家族」、面白さでは私は絶品だと思いますよ。
 

投稿: YO-SHI | 2009年10月 5日 (月) 10時50分

初めてお邪魔いたします。
ブログ村の書評・レビューに最近参加したミーシカといいます。

大変な読書量と、受賞された日記を拝見し、感心しきりです。
また遊びに伺いたく思います。以後よろしく。。。

森見氏は「きつねのはなし」が、新境地といっても良いくらい素晴らしかったです(…と私は思います)
もしまだお読みになっていなければ、ぜひご一読ください。
私のブログにも当該書籍の簡単な感想をアップしております。
こちらももし宜しかったら、読みにいらしてくださいね。

それでは、失礼いたしました。

投稿: ミーシカ | 2009年10月 9日 (金) 00時36分

ミーシカさん、コメントありがとうございます。

「きつねのはなし」はまだ読んでないんです。気にはなっていたのですが
新刊に気が行ってしまって、まだ読めていません。近々に是非読みたいと
思います。

ミーシカさんのブログも拝見しました。私が読んでいない本がたくさん
紹介されていました。本選びの参考にさせていただきます。

ブログ「よなてさ。」を右のリンクリストに追加しました。
 

投稿: YO-SHI | 2009年10月 9日 (金) 18時38分

「夜は短し…」でYO-SHIさんにおススメ頂いた「四畳半…」。
読んでしまいました(笑)
四畳半という狭さに凝縮された男汁。たまらなくイヤです。
でもオモチロイので読んでしまいます。
でも危険度が高かったので、次は美女ものにいけたら…と思います。

投稿: たかこ | 2010年2月14日 (日) 19時53分

たかこさん、コメントありがとうございます。

確かにご紹介はしましたが、「かなり危ない」「行間から臭う」
というコメント付きだったと思いますが..(笑)

男の私、元腐れ大学生の私でも直視できない腐れ加減によく
挑戦し、読み通していただきました。その勇気を称えます。
でも、オモチロかったでしょう?

さて、美女ものとは?「美女と竹林」「恋文の技術」などに
美女が出てきます(正確にはちょっと違うのだけれど)。
「宵山万華鏡」が、臭わなくていいかも。
 

投稿: YO-SHI | 2010年2月14日 (日) 21時11分

YO-SHIさん おはようございます。

腐れきった脳を浄化させるべく、宮木あや子さんの美しい話を読み始めました(笑)
それにしても、本当に森見さんの本は中毒性がありますね。
「美女と竹林」はまだ未読なのですが、先週嵐山の竹林に行ってしまいましたし、
何かあると「○○なりますように、なむなむ」と唱えてる自分がいて怖いです(^^ゞ

実は、私職場が大学なんですね。だから余計に腐れ大学生が気になるのかも…です。

投稿: たかこ | 2010年2月15日 (月) 09時54分

たかこさん、コメントありがとうございます。

宮木あや子さんって読んだことがないのですが、どんな作品なんでしょう?
ちょっと検索して調べてみたら「女による女のためのR-18文学賞」なんて
出てきて、ちょっとビビッてます。

職場が大学なんですね。リアル腐れ大学生もいらっしゃるのでしょうか?
 

投稿: YO-SHI | 2010年2月15日 (月) 18時24分

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腐れ大学生ここに極まれり!これほどのダメっぷりに、四話・二九〇頁を使うモリミーはすごい。 四話とも、話が同じ部分があり、使いまわし?の感があるが、読んで納得。大学三回生の春まで実益のあることなど何一つしてない生活を送っており、もし新入生の時に今とは違....... [続きを読む]

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