« アーサー王ここに眠る | トップページ | 14歳からの世界金融危機。 »

2009年6月17日 (水)

ウェストマーク戦記1 王国の独裁者

著  者:ロイド・アリグザンダー 訳:宮下嶺夫
出版社:評論社
出版日:2008年11月30日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ユーモラスな登場人物、友情、成長、「そうだったんだ」という驚き、児童文学として子どもが楽しめそうなのはもちろん、大人も楽しめる。著者は、本書の出版社である評論社から、1970年代以降少なくない数の作品が出版されている。それでも私を含め馴染みがない場合は、劇団四季の「人間になりたがった猫」の原作者と言えば「ああそうなのか」と思う人もいるかもしれない。

 舞台はウェストマークという架空の王国。主人公は、印刷工見習のテオ。時の宰相カバルスはいわゆる独裁者で、文筆活動だけでなく印刷所までを弾圧し、テオがいる印刷工場も、警察の襲撃を受けてテオ自身はお尋ね者になってしまう。
 その後、口を開けばウソばかりのラス・ボンバス伯爵(伯爵というのもウソ)や、みなしご少女のミックル、革命家のフロリアンらと出会い。そして自分や国の「あるべき姿」のあり方について悩みながらも成長していく。
 脇役ながらラス・ボンバス伯爵が良い味を出している。どうしょうもないウソつきだけれども、ウソつきは悪人とは限らないし、ウソつきは信用できないとも限らない(普通は信用できないけれど)のだ。

 上に書いた通り、テオはこの国の「あるべき姿」について考える。それは難しい問いだ。革命家のフロリアンが目指すものはテオのそれとは違う。敵役のカバルスを倒せばみんなハッピー、というわかりやすい話ではない。「大人も楽しめる」とは「大人も悩む」ということでもある。
 本書は、「ウェストマーク戦記」3部作の1冊目。この1冊で紆余曲折を経て、役者たちが落ち着くところへ落ち着いた、というところだ。個性の際立った登場人物たちが、これからの2冊でどんな物語を紡ぎだしてくれるのか楽しみだ。

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「ウェストマーク戦記1 王国の独裁者」 固定URL | 1.ファンタジー, 1Z.その他ファンタジー

« アーサー王ここに眠る | トップページ | 14歳からの世界金融危機。 »

1.ファンタジー」カテゴリの記事

1Z.その他ファンタジー」カテゴリの記事

コメント

面白そうですね♪

どこかで聞いたことがあるな~と思ったら、「タラン」シリーズの方だったのですね^^;

図書館には入っていたのですが、読んでいませんでした。

けっこう、読み漏らした本があるな~と痛感しきりです^^;

投稿: ねこのて | 2009年6月19日 (金) 22時57分

ねこのてさん、コメントありがとうございました。

「タラン」シリーズというのを知らなかったので、
今、検索して調べたんですが「プリデイン物語」って
やつですね。
そういえば、どこかで著者紹介に書いてありました。
著者の代表作だって。
読んでみようかなぁ、どうしようかな?
 

投稿: YO-SHI | 2009年6月20日 (土) 00時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/108492/45368807

この記事へのトラックバック一覧です: ウェストマーク戦記1 王国の独裁者:

» アガレスト戦記 ZERO [アガレスト戦記 ZERO]
「アガレスト戦記 ZERO」に関連するブログを新着 10 件表示しています。 [続きを読む]

受信: 2009年6月18日 (木) 02時09分

« アーサー王ここに眠る | トップページ | 14歳からの世界金融危機。 »