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2009年6月

2009年6月28日 (日)

断る力

著  者:勝間和代
出版社:文藝春秋
出版日:2009年2月20日 第4刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「勝間本」という言葉があるほど、著者は多くの本を出し、そしてそれが売れているらしい。私は、一人がそんなに多くの(何十冊もの)「意味あるメッセージ」を発せられるものか疑問で、勝間氏とはどんな人なのだろうと訝しく思っていた。
 でも、その人の本を読めばその人の考えがある程度わかると考えて、「訝しい」も含めて興味を引いた人の本を読むようにしている。それで、書店の「勝間本」コーナーでタイトルを眺めて、一番目を惹いた本書を手にとって読んだ。

 本書から見てとれるものは、強い目的性だ。目的(「スペシャリティになる」というのが1つの目的として提示されている)が達成されるかどうかを追求し、それが行動の判断基準となっている。そして、(1)目標達成のためにはそれに掛ける時間が必要→(2)1日は24時間しかない→(3)無駄なことにかける時間はない→(4)無駄な依頼を「断る力」が必要、という論法が展開されている。
 特に異論はないように見えるが、目的達成の過程で「断る」ことによって人間関係が壊れるなどのマイナスがあっても、それはリスクだと割り切って引き受けるべし、と言われると、私のような慎重派は戸惑ってしまう。
 途中で「リスク・ミニマイズ」と「リターン・マキシマイズ」という考えの対比が出てくる。「リターン~」例は小泉首相、「リスク~」例は福田首相。小泉さんのように少々嫌われようが熱烈なファンを得る方が正しい、さまざまな弊害が指摘されながら高い経済成長が達成されている、ということだ。

 ところで、私は面白いことに気がついた。「断る力」の「力」を"Power"ではなく"Ability"と捉えると見え方が一変する。本書では「断る」ことの効用を説いたり、DV被害を引き合いに出してまで「断らない」ことが招く事態を悲観したりして、その「Power(威力)」を強調している。しかし「断る」ことのマイナスに目が行ってしまうと、私のようにどうしても素直に受け入れられない。
 実は著者はこの「断る」ことのマイナスについて、ある程度は避けられないリスクだとしながらも、徒に反感を買わないように、とも言っている。そのために「よりよい代替案を提案する」「自分の軸をしっかり持つ」なども提示されている。「断る」こと以上に、こういった断るための「Ability(能力)」を身に付けることが重要なのだ、と思えばどうだろう。
 さらにその目的は、この力を身に付ければ、自分の行動やもっと言えば人生を、自分でコントロールできることだ。もはや「断る」に重点はないので、そのマイナス面の「人間関係を壊す」ことは大きな争点ではなくなる。これなら私も素直に受け入れられる。もっとも、こんな内容にしてしまうと本の企画としては失敗だ。凡庸な自己啓発本と変わらず、「断る」という言葉の持つ強さも活かされない。悩ましいが、本書の内容のほうが「リターン・マキシマイズ」だ。

 著者のことを「訝しい」と思ったことから本書を手に取ったわけだが、読み終わってその気持ちはほとんどなくなった。著者は「リターン・マキシマイズ」な生き方を身上にしている。それが万人にとって最上の生き方ではないと思う。しかし語られていることは自分の体験から導かれたものでウソはない。その意味では信用していいのだと思う。

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2009年6月24日 (水)

ウェストマーク戦記2 ケストレルの戦争

著  者:ロイド・アリグザンダー 訳:宮下嶺夫
出版社:評論社
出版日:2008年11月30日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 ウェストマーク戦記3部作の2冊目。1冊目の「独裁者の王国」で協力して困難に立ち向かった面々が、それぞれの立場で新しい生活を始めたところから物語は始まる。巻頭に付いている地図に書き込みが増えていることで分かるように、少し舞台となる世界が広がり、そして物語は複雑さを増している。

 今回ウェストマーク王国が直面した困難は、隣国レギア王国からの侵攻だ。単純な領土争いではなく、ウェストマーク王家に対する貴族や将軍の陰謀、レギア王家内部の事情などが絡んでいるらしい。
 そして、対するウェストマーク王国側は、アウグスタ女王が率いる正規軍と、革命家のフロリアンが率いる市民軍、さらに市民軍の中には別行動をとるゲリラ部隊が、微妙な協力関係を保って迎え撃つ。前作の主人公テオは、市民軍と行動を共にする。

 「複雑さ」という点では、前作で独裁者の宰相に立ち向かうことでは一致しても「君主制を維持するのか、それも革命によって打倒するのか」という、難問を抱えたままだが、今回はさらに答えのない重い問いかけが残る。
 それは、戦争という非常時にあっての様々な行為の評価だ。戦時下の英雄も視点を変えれば残忍な殺人者に他ならない。しかし、そうしなければ仲間を祖国を守ることができないとすれば...。前作が児童書とは言え大人も楽しめるユーモアのある冒険小説だとすると、一転して本書は重い問いかけを読者に投げかける戦争小説と言えるだろう。

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2009年6月20日 (土)

14歳からの世界金融危機。

著  者:池上彰
出版社:マガジンハウス
出版日:2009年3月23日 第3刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 最近は、「簡単」で「すぐ読める」本がバカ売れすることがあり(「1Q84」はこれに当たらないが)、あらすじで名作を読もうという本まである。私はこうしたお手軽な本には、否定的な感想を持っていた。簡単にしたことで重要なものが抜け落ちて、それがないと物事は全然違って見えるかもしれないからだ。
 そこへ来て本書は「45分でわかる!」と銘打ったシリーズの1番手。さらに、先日本書の著者による本書をベースにしたと思われる、「池上彰のやさしい経済教室」なる記事が朝日新聞に載っていた。45分でわかる本をさらに要約して2500字前後、まぁ5分ぐらいで読めるようにしたわけだ。なんてお手軽志向なんだろう。

 それで新聞の記事を読んで思ったことが2つ。1つ目は、やっぱりこれでは物事を単純化しすぎなのではないか、ということ。「サブプライムローン」の破たんの原因が「信用力の低い人に貸したこと」としか書かれていない。
 2つ目は、私が知らないことが書いてある、ということ。まぁ、全てのことを知っていると驕るつもりは毛頭ないが、それでも、「グローバル恐慌」も読んだし、新聞も結構読む方だし、毎晩ニュースも見るし、5分で読める解説の内容ぐらいは知っていると思っていた(これだって充分に驕りだったわけだ)。

 前置きが長くなったが、本書を読んだ感想。100ページに満たない薄~い本だけれど、45分の時間をかける価値は充分にあると思う。もちろん2500字が100ページ弱に増えても、単純化の弊害からは免れてはいない。しかし、1つ1つを短く説明することでより多くのことが書けているし、それらを関連付けて説明することに成功している。簡潔に書くことで、逆に新聞やニュースでは見えなかったことやつながりが見えてくるのだ。
 本書は、少し前にブログ友達のさーにんさんが教えてくれたものだが、その時には「物語とは違って、説明は分かりやすく簡単にすることはとても大切」などと答えていた。今も改めて同じことを思う。

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2009年6月17日 (水)

ウェストマーク戦記1 王国の独裁者

著  者:ロイド・アリグザンダー 訳:宮下嶺夫
出版社:評論社
出版日:2008年11月30日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ユーモラスな登場人物、友情、成長、「そうだったんだ」という驚き、児童文学として子どもが楽しめそうなのはもちろん、大人も楽しめる。著者は、本書の出版社である評論社から、1970年代以降少なくない数の作品が出版されている。それでも私を含め馴染みがない場合は、劇団四季の「人間になりたがった猫」の原作者と言えば「ああそうなのか」と思う人もいるかもしれない。

 舞台はウェストマークという架空の王国。主人公は、印刷工見習のテオ。時の宰相カバルスはいわゆる独裁者で、文筆活動だけでなく印刷所までを弾圧し、テオがいる印刷工場も、警察の襲撃を受けてテオ自身はお尋ね者になってしまう。
 その後、口を開けばウソばかりのラス・ボンバス伯爵(伯爵というのもウソ)や、みなしご少女のミックル、革命家のフロリアンらと出会い。そして自分や国の「あるべき姿」のあり方について悩みながらも成長していく。
 脇役ながらラス・ボンバス伯爵が良い味を出している。どうしょうもないウソつきだけれども、ウソつきは悪人とは限らないし、ウソつきは信用できないとも限らない(普通は信用できないけれど)のだ。

 上に書いた通り、テオはこの国の「あるべき姿」について考える。それは難しい問いだ。革命家のフロリアンが目指すものはテオのそれとは違う。敵役のカバルスを倒せばみんなハッピー、というわかりやすい話ではない。「大人も楽しめる」とは「大人も悩む」ということでもある。
 本書は、「ウェストマーク戦記」3部作の1冊目。この1冊で紆余曲折を経て、役者たちが落ち着くところへ落ち着いた、というところだ。個性の際立った登場人物たちが、これからの2冊でどんな物語を紡ぎだしてくれるのか楽しみだ。

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2009年6月14日 (日)

アーサー王ここに眠る

著  者:フィリップ・リーヴ 訳:井辻朱美
出版社:東京創元社
出版日:2009年4月30日 初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

  アーサー王物語はあまりにも有名。名剣エクスカリバー、魔術師マーリン、円卓の騎士などなど。5世紀初めにローマがブリテン島から撤退した後、サクソン人の侵入などによる混乱を治めた伝説の王だ。聖杯伝説などと結びついて、様々な物語が生み出されているが、大筋において英明な王として描かれている。(例えば、サトクリフのアーサー王物語
 しかし本書は、それらの英明なアーサー王物語とは趣を異にする。少なくとも私はこのような描かれ方のアーサー王を知らなかった。著者はあとがきで「これによって「アーサー王の実像」を描き出すつもりもなかった。」と書いているが、わざわざこう書くのはこの物語が「アーサー王の実像」に見えてしまうからだ。

 本書の主人公はアーサーではない。主人公はアーサーの軍勢の末端にいる少女グウィナ。グウィナは戦乱の中でアーサーに近しい吟遊詩人のミルディンに拾われたみなしごだ。彼女が、自分の体験や聞き知ったことを綴る形で、その背景に軍勢の首領であるアーサーの姿が映し出される。
 ミルディンは戦乱を治めて平和を築くためには、1人の強い覇者が必要だと考え、その役割をアーサーに与えようと考えている。そのために吟遊詩人として、大幅な脚色や嘘によって作られたアーサーの英明な勲しを国中に広める。人々はミルディンが語る物語を受け入れる。人は信じたいと思うものを信じるからだ。(それが語り継がれて、私たちが知る伝説となるのだ。)

 登場人物の多くが、アーサー王物語の登場人物と相関している。ミルディンはマーリン、妃のグウェニファーはグィネヴィア、アーサーの兄のカイはケイ、甥のペドウィルはランスロットか?それぞれ伝説とは少し違う形でその役回りを演じる。
 すでに知っているアーサー王物語を思い描いて読むと面食らうが、物語としてはよくできている。2008年の英国図書館協会が贈る児童文学賞であるカーネギー賞受賞というから、英国人もちょっと異色のこんなアーサー王物語を受け入れたわけだ。

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2009年6月10日 (水)

ペニーフットホテル 受難の日

著  者:ケイト・キングズバリー 訳:務台夏子
出版社:東京創元社
出版日:2009年5月15日 初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 海外のテレビドラマのような本だった。「犯人は誰だ」的な軽めのミステリーだ。テレビの場面転換を思わせる短めの章建て。個性的なキャラクターたち。活動的な女性の主人公。それを忠実に支える男性。日本に設定を変えて2時間ドラマにしたらウケるかもしれない。

 舞台は、英国南東部の海岸沿いの小さな村。時代は1906年、5年前に即位したエドワード王時代。と言ってもピンとこないと思うが、エドワード王時代の前が英国の絶頂期と言われる「ヴィクトリア朝」時代。だから、国は繁栄していたけれど、階級社会であり女性には参政権もなかった時代だ。
 そして主人公は、亡夫からこの海辺のホテルを受け継いだ女主人セシリー。ホテルは取り立てて何もない村のホテルだが、上流階級の人々に人気で、良いお客に恵まれてそれなりに繁盛している。プライバシーが守られ、従業員の口が堅いことが、お忍びの旅行に最適というのが人気の理由。ただし、登場する個性豊かで詮索好きなメイドたちからは、そんなことは想像できないけれど。

 そのホテルである日の夕方、宿泊客の1人が遺体で発見される。どうも手すりの壁が崩れて屋上庭園から落ちたらしい。事故ならホテルの管理責任を問われる。殺人事件なら...。
 というわけで、セシリーは警察が到着する前に(田舎なので警察もすぐには来ない)、事件の真相を解き明かそうと、支配人のバクスターの助けを得て行動を開始する。バクスターは亡夫の時代から忠実に仕えてきた。そしてセシリーが何かしようとするたびに「ご婦人がそのようなことをなさっては..」と止めるのだが、結局はいつもセシリーの指示通りに協力する。

 舞台は英国ながら、本書が書かれたのはアメリカ。そのアメリカでは1993年の本書の発表以来人気シリーズとなって、12作で一応の完結を見たものの、ファンの声の後押して今でも年に1作が発表されているという。日本語の第2作がこの秋に刊行予定というから楽しみが1つ増えたというものだ。

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2009年6月 5日 (金)

1Q84 BOOK1、BOOK2

著  者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2009年5月30日 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 出版社によると、発売1週間後の昨日(6月4日)現在の発行部数が、BOOK1が51万、BOOK2は45万だそうだ。敢えて指摘するまでもなく空前の売れ行きだ。出版界のみならず経済全体の景気が悪くて社会が沈鬱な現在、明るいニュースの部類にはなるのだろう。良いことには違いない。
 しかし、どういった内容の本か?とか、面白いのか?という情報が皆無に近い中での雪崩のような売れ方に疑問がないわけではない。「売れている本だから買って読んでみたい」というのは自然な感情だが、ある閾値を越えると量的な違いは質的な転換を伴う。1週間で百万部という量は尋常ではない。本書との関連を指摘されるオーウェルの「1984」が描き出した思考停止の状況に思えるが、シニカルな見方すぎるだろうか。

 肝心の本の中身は、少し気になる点はあったが面白かった。2冊で1000ページにもなるし、ゆっくり読もうと思っていたのに、結構なスピードで読みきってしまった。村上春樹ファンには肌になじむ感じの物語だ。かつての作品を思い起こさせる人々や出来事、ふんだんに出てくる音楽、あぁこれはランナーとしての著者の思いだなとか、これは「アンダーグラウンド」を下敷きにしたものだな、などなど。勝手な思い込みができるのも嬉しい。
 そして本書は、ファンではない人にとっても親切な造りだと思う。「親切」というのは「ファン以外には付いて行けない」というほど、いわゆる村上ワールド色が強く出ていない、という意味だ。得体の知れないモノや変わった人々は出てくるが、上々のサスペンスとしても読める。私は、あまりに普通の物語なので、著者の文体に似せた誰かの手になるものなのではないかと思ったほどだ。

 不満がないわけではない。多くの物事が着地しないままになっている。もっと言えば、物語に盛り上がりがない。特に主人公2人のうち一方の視点だけを見れば、「何かが起こりそう」という気配だけで実際には何も起きていない。これで終わりではないのだろう。
 ところでこの物語は、主人公の1人が紡いだ物語と現実が、複雑な入れ子状態になる。実はその入れ子状態はもっと大きく、本書そのものとそれを読む読者までが組み込まれているようだ。なぜなら、著者は主人公の口から、その作品が「物語としてとても面白くできているし、最後までぐいぐいと読者を牽引していく」のなら、疑問符を残したままであることぐらい何だと言うのだ、という意味のことを言わせている。これは著者が私のような読者を予想して、それに向けた言葉に違いないからだ。

 この後は、ちょっと気になったことを書いています(ネタバレの要素があります)。興味のある方はどうぞ。

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2009年6月 3日 (水)

Story Seller(ストーリーセラー)

編  者:新潮社ストーリーセラー編集部
出版社:新潮社
出版日:2009年2月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 本書は、月刊の文芸誌「小説新潮」の2008年5月号別冊として発売された雑誌を文庫化したもの。伊坂幸太郎、有川浩、近藤史恵、佐藤友哉、本多孝好、道尾秀介、米澤穂信の7人の書き下ろし短編が収録されている。
 伊坂幸太郎さん、有川浩さんは私が好きだと公言している作家さんだし、近藤史恵さんは「サクリファイス」を読んで関心度が急上昇中。しかも収録されているのは「サクリファイス」の外伝だという。文庫で860円とは安くはないが、私にとっては何ともお買い得な1冊だ。私が注目した3人以外の4人も、それぞれに文学賞を受賞された方々だそうで、出版社が「物語のドリームチーム」なんて言うのも分かる。

 伊坂さんの作品は、短いながらもちょっと捻りの効いた伊坂作品らしいモノ。近藤さんの作品は「サクリファイス」のテイストそのままの外伝。すごく良かったとは言えないが、まぁ期待通りだった。ちょっと不満があるのは有川さんの作品。この作品は私は好きになれない。著者が「悪意」や「悲劇」も描けることは分かっているが、読後感は大事にしてほしい。
 「ドリームチーム」でもいつも最高のパフォーマンスが出せるとは限らない。一流選手も調整不足で良い結果を出せないことがある。詳しくは分からないが、雑誌に向けての書き下ろしと1冊の単行本の出版とは、かける時間や推敲の量が違うのかもしれない。奇しくも有川さんの作品は、雑誌にたくさんの物語を身を削るように書く小説家の話。著者もあんな風に雑誌に作品を書いているのかもと思うのはいけないことだろうか?

 そんな想像から、小説を読むなら文芸誌よりも本として出版されたものを読む方が良いのではないかと思った(例え文芸誌に連載されたものをまとめて単行本として出版するにしても)。ただ、文芸誌にも良いところはある。それは、新しい作家さんとの出会いだ。
 本を買うならなおさらだが、図書館で借りるにしても未知の作家さんの本を手にすることは限られている。その点、本書は私が知らない4人の作家さんの作品を読む機会になった。どの作品にもちょっと毒があるのだけれど、もう1冊ぐらい読んでみようかな、と思う。

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