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2009年2月18日 (水)

グラスホッパー

著  者:伊坂幸太郎
出版社:角川書店
出版日:2004年7月30日初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 伊坂幸太郎さんの5年ほど前の作品。今年は(るるる☆さんと一緒に)伊坂作品にはまろうと考えているので、積極的に過去の作品を読んでいきます。

 相変わらずうまい(過去の作品なので「相変わらず」は正しい用法ではないけれど)。複数の視点から順に語られる手法もお馴染みなら、終盤に来てそれらが収束していくのも、目立たない伏線が最後なって浮上して、足をすくわれるような感覚もお馴染みだ。パターンにはまったと言えばその通りなのだが、今回も気持ちよく足をすくわれてしまった。

 悪いやつがたくさん登場する。登場する人物のほとんどが「闇社会」の一員だ。それでいて冷たい感じがしない。悪いやつらも、失敗したり焦ったり悩んだりと、妙に人間臭いからだ。
 主人公は「鈴木」。悪徳会社の社長のバカ息子に悪ふざけの事故で妻を殺されている。彼は、復讐のためにその悪徳会社の契約社員となっている。その他の視点は「蝉」と「鯨」と呼ばれる2人の殺人のプロ。
 本書によると、この社会には殺人の「業界」があって、電話やなんかで殺人の注文を受けたり、人材を派遣したりしているらしい。鈴木も含めて、登場人物のほとんどはこの「業界」の一員なので、悪いやつらなのだ。ただ、あんまり悪いやつらばかり出てくるので、中でも罪の軽い人がいると、ちょっといい人に思えてしまうから、私の善悪の感覚もあてにならないものだ。

 元々はこの業界の人間ではないからか、追われる身となった鈴木の見通しの甘い行動には少しあきれるが、まぁどこかユーモラスで憎めない。「蝉」と「鯨」が抱えるそれぞれの悩みもうまく描かれていた。舞台が殺人の業界だから必然かもしれないが、何人もが死ぬがつらいが、読後感はそれほど悪くないことに救われる。

この本を読んだ方へ質問。
 鈴木は最後に5階に行くのですが、4階に行くべきではないのでしょうか?

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「グラスホッパー」 固定URL | 3.ミステリー, 31.伊坂幸太郎

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31.伊坂幸太郎」カテゴリの記事

コメント

わ~い♪私の名前出していただいて嬉しいです^^
一緒にどっぷりはまりましょ~(^^)/
これは未読ですけど面白そう~!
悪いやつらばっかりなんですね。
殺人業界?ってのがあるんですね。
こういう裏社会を楽しめるのも本の世界ならでは!

がんばって追っかけます!!

投稿: るるる☆ | 2009年2月20日 (金) 14時11分

るるる☆さん、コメントありがとうございます。

「伊坂さんにはまる宣言」の道連れに、名前を出させて
いただきました。事後承諾ですがよろしくお願いします。

悪いやつらばっかりです。殺し方も凝ってるというか
想像外です。必殺仕事人にもこんなのありませんでした。
「上の上」とは言いませんが、さすがに伊坂作品です。
楽しめると思いますよ。
 

投稿: YO-SHI | 2009年2月20日 (金) 23時46分

YO-SHIさん、こんちは。先日ウチのブログに「生命40億年全史」でコメント貰ったtoppoです。ウチんトコは、すかすか、が持ち味なんですけど、YO-SHIさんトコはきっちり書評書かれてますねえ。頭が下がります。
伊坂さんの本は未読ですが書評を読んで面白そうだな、と思いました。そのうち読んでみよっと。ではでは。

投稿: toppo | 2009年2月21日 (土) 14時10分

http://kazakami.cocolog-nifty.com/blog/

投稿: toppo | 2009年2月21日 (土) 14時11分

toppoさん、コメントありがとうございます。

伊坂さんの本は、今のところ私にとってはハズレなしです。
機会がありましたら、ぜひ読んでみてください。
感想など教えてもらえるとうれしいです。
 

投稿: YO-SHI | 2009年2月21日 (土) 23時46分

YO-SHIさん こんにちは♪
先日拙ブログの「グラスホッパー」にコメントいただきました、はりゅうみ と申します。その節は有難うございました。

本だけは馬鹿みたいに読んでますが書く事には不慣れで、ついつい長文になりがちです。YO-SHIさんの記事は要点をすっきりまとめてあって読みやすく、ご指摘もさすがのご貫禄です。

私も今年は伊坂さんコンプを目指していたので同志の方がいらして嬉しいです。こっそり仲間に入れていただきました(笑)
「生活密着殺し屋」の群像劇、楽しかったですよね♪「殺人」で「楽しい」と形容できる異色さが気に入ってます。

拙宅はコミック率も多い読書ブログなのでリンクのお願いがしづらいのですが、TBならよろしいでしょうか。

また遊びにまいります。それでは♪

投稿: はりゅうみ | 2009年3月 3日 (火) 16時23分

はりゅうみさん、コメントありがとうございます。

伊坂さんにはまる仲間に入っていただいて、ありがとうございます(笑)
コンプリートを目指す覚悟はまだないのですが、とにかく読み進める
つもりです。
文章についてほめていただいてありがとうございます。ほめられると
私はホントに素直に喜びます。書くのに結構時間がかかっているので。

TBは関係のある記事からならもちろんOKですよ。ウェルカムです。
リンクも読書関係のサイトの相互リンクはOKです。
 

投稿: YO-SHI | 2009年3月 4日 (水) 17時43分

お言葉に甘えまして、本日リンクとTBさせていただきました。
ありがとうございます♪
今後とも末永く、よろしくお願い致します。←結納みたい(笑)

投稿: はりゅうみ | 2009年3月 6日 (金) 14時39分

はりゅうみさん、コメントありがとうございます。

こちらも、右サイドの「リンクリスト」に
はりゅうみさんのブログ「Mille fleurs ~千の花」
を加えました。
こちらこそ、末永くよろしくお願いします。
 

投稿: YO-SHI | 2009年3月 7日 (土) 12時28分

ここでお詫びしていいのか迷いましたが他の手段が見つからず、申し訳ありません。操作間違いでTB記事を何度も送ってしまいました。
大変失礼致しました。

リンクありがとうございました。また遊びにまいります。

投稿: はりゅうみ | 2009年3月 9日 (月) 15時12分

はりゅうみさん、コメントありがとうございました。

TBの件、了解しました。問題なしです。
それで、前の方のTBを削除しましたのでご了承ください。
 

投稿: YO-SHI | 2009年3月10日 (火) 00時17分

こんにちは。
最近、伊坂さんにはまってます。
過去作品とか、読む順番がばらばらなので、流れが追えないのですが、どれも楽しく読めています。
登場人物とかって、いろんなところでリンクしてそうですよね?(伊坂作品)

鈴木が拷問されてた場所って5階だったような…。4階でしたっけ?

投稿: たかこ | 2009年7月 4日 (土) 11時10分

たかこさん、コメントありがとうございました。

私も、今年は伊坂さんにはまる、と宣言しています。
ここのところ、ペースが鈍ってはいますが...
一緒にドンドン読んで、感想などを交換しましょう。

読んだ本は図書館の本なので、手元にないので、
本屋さんで立ち読みしてきました。

そしたら...5階でした。いや、でも、確かに4階
だったはずなんだけれど...。
 

投稿: YO-SHI | 2009年7月 5日 (日) 00時27分

ここに今コメントしても、誰かに読んでもらえるか
どうかわからないんですが、上のコメントに補足です。

昨日、図書館で「グラスホッパー」の単行本の初版を見てきました。
そうしたら...鈴木が連れていかれたのは4階になってました。

223ページ「蝉」の章。「彼らが四階で降りたのを確認すると.」
これが、本屋で先日みた「17年1月15日」の版では、「五階」に
変わってました。
つまり..伏線や謎ではなくて、間違い?
 

投稿: YO-SHI | 2009年7月15日 (水) 13時37分

四階と五階の件、私も凄く疑問です。
最後の方で、”五階に点っていた蛍光等が...”が出てきた時点でこればかり気になってクライマックスがあまり集中できませんでした...。
ただの間違い??

投稿: NoAuthor | 2010年1月10日 (日) 01時41分

私が読んだ分は初版で223ページ四階になっていたので途中で書き直されたのかなと思いました。
間違えることあるんですね。
(二つ上のかたの投稿を見ずにひとつ上の投稿してしまいました。。すみません。)

投稿: NoAuthor | 2010年1月10日 (日) 01時56分

コメントありがとうございます。

状況から見て間違いだったのでしょう。

伊坂さんの作品には伏線が多いし、トリックもありますから
私も、階数が違うのは何かの仕掛けだと思っていました。
間違いだなんて思いませんよね。
 

投稿: YO-SHI | 2010年1月10日 (日) 17時45分

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新装開店第1冊目は伊坂幸太郎さんの「グラスホッパー」です。伊坂さんの作品の中(そんなに読んでないけど)ではちょっと異彩、というかナナメ角度が違っててそこが気に入ってます。裏あらすじに『分類不能の「殺し屋」小説』とあったんですが、これを書いた方もプロのはずなのに、いったい何を表現しきれなくてこんな意味不明な紹介文になってしまったのかすごく魅かれて(笑)これ読んで「よく解った」と答える人多分少ないですよね?で、本書を読んだ後は、裏あらすじの筆者さんに「お疲れ様でした」と肩をポンとしてあげたくなってしまっ... [続きを読む]

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