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2008年8月 1日 (金)

だから片づかない。なのに時間がない。

著  者:マリリン・ポール 訳:堀千恵子
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2004年6月10日 第1刷 2004年7月7日 第2刷
評  価:☆☆(説明)

 ビジネス書・実用書を中心に書評を書かれているブログ「本読みサラリーマン」で、たかさんが紹介されていた本。片付かないし、仕事の期限に追われている身を思い、参考になればと思い読んでみた。

 この本は、私に向かって書いているようでもあり、私には合わないようでもあった。中に例として出てくる「滑り込みで締切に間に合わせたことに達成感を感じる人」とは、正に私のことだ。大事な会議の資料を10分前に仕上げて、周囲に迷惑をかけておきながら「間に合わせる自信はあった」なんて言う始末だ。
 その一方で、著者がかつてそうだったと言う「散らかった部屋は温かみがあり、きれいに整った部屋はなんだか冷たい」「だらしなさは創造性の源」なんていう考えには、全く賛成できない。だらしない人は言い訳の天才、というくだりもあるが、片づけないことの言い訳としてもかなり程度が低い。こういう考えの人を対象にしているなら、私とは合わない。

 サブタイトルにある「7つのステップ」とは、(1)目的をはっきりさせる (2)ビジョンを描く (3)現状を検討する ...という感じで、(7)心を深く掘り下げ、変化を維持する、まで続く。そして、それぞれのステップごとに「やってみよう!」というワークシート的なものがいくつかついて、親切な作りになっている。
 ただ難点なのは、このステップの1つ1つが(したがって全体ではさらに)面倒なことだ。習慣や意識を変えようというのだから、そうそう簡単にはいかないのはわかる。でも、面倒なことができないからこそ「だらしない」のではなかろうか?
 それから、この7つのステップは、企業経営のステップに似ている。これは、恐らく偶然ではなく、著者が組織改革等を専門とするコンサルティング会社の経営者だからだと思う。企業のワークフローを変えるのと同じアプローチで、個人の習慣を変えようという考えなのだろうか?どちらも、相当エネルギーを必要とすることでは共通しているが。

 「習慣を変える」ということで言えば、本書のかなりの部分で繰り返されているのは、「それが習慣になるまで続ける」「挫折しても、元に戻ってしまっても、またやり直す」ということだ。何度でも、何年でも。著者も、机の上を整理する習慣化のために30~40回トライしたという。正論ではあるけれども、これも「だらしない人」には苦手なことだろう。
 その点、随所にちりばめられている「ちょっとしたアイデア」には使えるものもある。例えば「所要時間を実際に計ってみる」。所要時間を短く見積もってしまって失敗することがあれば、実際にやってみたらあっという間に終わってしまうこともある。洋服をハンガーにかけてしまうのは面倒だけれど、実は15秒しかかからないことが分かると苦にならないかもしれない。
 この本を読んでキチンとした習慣が身につくかどうかは疑問。大きな期待をしないで少しでもヒントを拾おうというぐらいが良いと思う。

補足があります。こちらからどうぞ。

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補足を一つ

 本書の原題は、It's Hard to Make a Difference When You Can't Find Your Keys.(キーが見つからなければ、変化を起こすのは難しい)だ。朝出かける時に鍵が見つからない、というエピソードが出てくるので、それとかけているのだと思うが、ここで言う「Keys」は「キーファクター」のことだ。意味は「ものの成否を決める重要な要素」。
 と言うことは、本書が一番主張したいことは、様々な整理整頓の方法ではなくて、これらを成功させるためのキーファクターを見つけろ、ということなのではないか、と思えてきた。
 そう考えると、「遅刻グセが直らないのは、少年時代の父親との思い出に原因があった」とか、「靴下を洗濯カゴに入れるのは誰の役目か、にはもっと重要な問題が」とか、妙にシリアスな心の問題に終盤になって触れていることを思い出す。心の問題、となるとさらに成功が遠のく感じがしないでもないが、本書に対する見方は変わってくるだろう。

 
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コメント

タイトルにすごく惹かれたんですけど
感想を読んだ感じだと、あまり好きではないのかもしれません。
片付かないときほど、時間のなさが気になるっていうのには
非常に共感するんですが。
今度、図書館で見つけたら読んでみようと思います

投稿: えみ | 2008年8月 5日 (火) 06時47分

えみさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

そう、タイトルがいいんですよ。読みたくなるんです。

その意味では、原題から離れて付けたこのタイトルは
成功なんですが、内容をうまく表していない、という
マイナス面が、期待はずれという評価にもつながります。

見つけたら、パラパラご覧になって、良さそうなら、
通しで読まれたらいいと思います。

投稿: YO-SHI | 2008年8月 5日 (火) 16時43分

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