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2008年7月28日 (月)

てるてるあした

著  者:加納朋子
出版社:幻冬舎
出版日:2005年5月25日
評  価:☆☆☆(説明)

 「ささらさや」の続編、「佐々良」という同じ街を舞台とした、1人の少女が経験した半年余りの物語。登場人物の街の住人たちは、前作と同じ面々。「ささらさや」の主人公のサヤも登場する。あれからどれだけ経ったのか分からないが、サヤの子のユウ坊がまだ赤ん坊のままだから、それほど月日は流れていないようだ。

 今回の主人公、照代は15歳、志望校に合格し、晴れて入学式を迎えるはずだった4月に、夜逃げするハメに陥って、遠い親戚である久代を訪ねて一人佐々良に来た。15歳の少女には少し過酷な境遇だ。子どもと言うには成長しすぎているが、一人生きていくのは難しい、まだ大人の保護が必要な年ごろ。
 この街では不思議なことが起きる。前作でサヤの死別した夫が、サヤを助けるために度々現れたような不思議なことが。今回も、照代の周辺には不思議がいっぱいだ。少女の幽霊が現れたり、発信元不明のメールが届いたり。しかし、幽霊が出てくるからと言って怪談ではない。少しホッとする物語がやわらかい文章で展開する。

 この物語は、照代の心の再生物語だ。照代は羽振りの好い家庭で育った。だが夜逃げをしなければならなくなったのは、まっとうな金銭感覚がない浪費家の両親のせいだ。多重債務によって実現した羽振りの良さだったのだ。
 カネやモノは欲しがるだけ与えていたが、愛情は十分に注がなかったようだ。少なくとも、照代自身はそう感じていた。そのためか、やさしくまっすぐなサヤから受ける言葉や親切さえ、嫌悪してしまうほど心がササクレていた。
 しかし、久代やサヤ、そしてクセのある佐々良の街の人々から、たくさんの親切を受けることで、照代の心も穏やかさを取り戻していく。

 このように書いてしまうと、ひどく一本調子でありがちな話のように思える。しかし、この著者は日常に潜むミステリーを書く人だ。ちょっとした伏線が張られていたり、意外な幽霊の正体など、良い意味で読者を裏切る仕掛けがあって楽しめる。

 最後に、この本を読まれた方にお伺いしたいことが...ここからどうぞ(ちょっとネタバレ)

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 ユウ坊がタダの赤ん坊とは思えません。本書冒頭にも「不思議な赤ん坊」と書かれています。
 私は、メールの送り主はユウ坊なのではないかと思うのですが。皆さん、どう思われますか?

 
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コメント

こんばんは!コメントありがとうございました。

ユウ坊は謎の人物ですよね~(笑)
「ささらさや」から外見描写だけだし。
(記憶違いだったらすいません)

メールの件は
俊彦さん、実は時折近くに来ていて、
ユウ坊にアドバイスしたのかもしれませんね。

投稿: ようせい | 2008年8月 2日 (土) 18時32分

コメントありがとうございました(^_^)
私もお邪魔します♪
てるてるあした、を読んだのは、だいぶ前で…ユウ坊の記憶があまりなくて…スミマセン(^_^;)

私は「ささらさや」の、さやさんが、嫌いじゃないけど、特別好きでなく(^。^;)
…わけは、なよなよし過ぎ、などありますが、主な理由は、「ダンナ様が素敵すぎる」という私の心の狭さによるものです、はい。(←それも幽霊だというのに)

「てるてるあした」の、主人公のひねくれた性格に、親近感を覚えてしまいました(*^_^*)
だから余計に、ラスト、泣けたのかもしれません。

投稿: そらきりん | 2008年8月 2日 (土) 22時35分

ようせいさん、コメントありがとうございました。

メールの主はユウ坊で、その後ろに俊彦さん、ですね。
それは、思い付かなかったけれど、ありそうなことですね。
ユウ坊には、色々なものが見えているようですから。

----

そらきりんさん、コメントありがとうございました。

サヤさんについては、好きとか大好きとかいう人は
意外に少ないんじゃないでしょうか?あの性格では
周りに迷惑をかけます、きっと。

それから、照代の性格ですが、自己チューとか、
そらきりんさんのように、ひねくれてるとか思う
意見が大勢のようです。
(著者までが「いやな女の子」と言ってます)
ただ、私は、15歳であの境遇で何とか暮らしている
姿がただただ健気に思えるのですが、変でしょうか?

投稿: YO-SHI | 2008年8月 3日 (日) 00時51分

こんにちは。
これ、テレビドラマ化されていましたよね。
照代を演じた若い女優さんはアイドルっぽい方でしたが、
本格的に演技の勉強をされた方ではないかと感じたのを
覚えています。
テレビ朝日系列で、毎週夜の金曜日11:30から放送
されていました。1年~2年位前。
原作本があったのは知りませんでした。

投稿: トマト | 2008年8月 6日 (水) 14時01分

トマトさん、コメントありがとうございます。

テレビドラマも見ました。というか、ドラマを見て、
原作を読もうと思って図書館で本を探したところ、
この本はなくて、他の本を借りたのが、原作者の
加納朋子さんの作品を読むようになった始まりです。

ドラマは2006年なので、読もうと思ってから2年も
経ってしまったわけですが。

投稿: YO-SHI | 2008年8月 6日 (水) 23時12分

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