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2008年4月13日 (日)

ラスト・イニング

著  者:あさのあつこ
出版社:角川書店
出版日:2007年2月14日初版
評  価:☆☆☆☆(説明)

 同じ著者による小説「バッテリー」第6巻の新田東と横手ニ中の試合の前後談。特に第2章「白球の彼方」では、横手ニ中の名遊撃手、瑞垣の口によってあの試合の後、彼らが歩んできた道が明らかにされる。もちろん、第6巻の最後に巧が門脇に対して投げた白球がどうなったかも語られる。

 「バッテリー」の続編であることには違いないが、主人公は瑞垣だし、話の中心は瑞垣と門脇の関係に置かれている。それぞれ中学を卒業し、今は別々の高校に通う。どちらも進学先の高校は、周囲の期待や予想と違ったものだった。門脇はあるものを追い求めるため、瑞垣はあるものから逃れるため、15才の少年とは思えない決断の末の行動だった。

 正直に言って、この本を読もうと思ったのは、あの試合がどうなったのか知りたかったからだ。「バッテリー」はあそこで終わった話だし、充分に完結しているので、その後のことは、想像したい人は想像すればいい、という意見もあろう。私も、この本が出ていなかったらそう言うだろう。でも、知りたくて読んでしまった。「後日談など知らないほうが良かった」という結果を招く可能性を省みずに....。
 少し、意味ありげな言い方をしたが、結果的に言えば、読んでよかったと思っている。「バッテリー」読者にもおススメする。巧と門脇の対決の結果も、著者は実に練りこんだ答を用意していた。直接は語られないが、巧と豪のバッテリーの強靭さも垣間見られる。それにも増して、瑞垣と門脇の2人の少年のひたむきさを感じることができる。

 そう、本書を含めた「バッテリー」シリーズに流れる通底奏音は、少年たちのひたむきさ、なのかもしれない。本書で「ほんまもんの極めつきの生意気な人」と評される巧の頑なさも、混じりけのない「少年らしい素直さ」と見る見方にも、ある人に言われて気付かされました。瑞垣や門脇の行動からも同じような衝動があるように思います。
 主人公の巧たち1年生と比べて、3年生の瑞垣や門脇、海音寺らは大人びて描かれていたため、忘れてしまいそうになりますが、彼らとてたった2歳年上なだけでまだ10代半ば。迷いや悩みも多く、自分では処理しがたいこともあるはずなのに、彼らは自分の意思で乗り越えていく。感動。

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