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2007年10月21日 (日)

獣の奏者 1.闘蛇編、2.王獣編

著  者:上橋 菜穂子
出版社:講談社
出版日:2006年11月21日
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「守り人」シリーズの著者による長編ファンタジー。時代も場所も架空の物語だが、なんとなくアジアの古代を思わせる。魔法がなくてもファンタジー小説は成り立つのだと、改めて分かった。

 舞台は、リョザ神王国、真王が国を治めているが、血の穢れをきらう真王に代わって、大公が他国からの侵略に対する防衛の任に就いている。その大公が兵器として使うのが「闘蛇」、巨大な蛇のような生き物だ。そして、闘蛇の唯一の天敵が「王獣」、翼を持つ崇高な獣で、真王のシンボルとされる。(大公の闘蛇より優位にある、という意味もあるらしい)

 主人公エリンは、闘蛇の世話をする母の子として生まれ、曲折を経て長じてから王獣の医術師となり、この世で唯一人王獣を慣らすことができる能力を得る。
 しかし、いくら心を通わせたと思っていても、獣と人間の隔たりは大きく、どうやら太古には人間と王獣の関わり方が原因となって、国が破滅するような悲惨な事件が起こったらしい。エリンの母の民族である「霧の民」が厳しい掟を作って、闘蛇や王獣を人間が飼い慣らすことのないようにしたのは、2度と同じ過ちを繰り返さないためと言う。

 面白い。一気に2冊読ませるような面白さだ。しかし、2つ意見を言いたい。
 一気に読んだ最後に結末を迎えた読者は、突然放り出されたような感覚を味わう。色々なことが着地しないまま物語は終わってしまう。続編がないのなら、これはいただけない。
 もう1つ、この話はエリンの成長物語なのだとしても、その他の人の話も少し肉付けしたらどうだろうか。エリンの成長に合わせて周辺には色々な人が現れ、それなりに個性的な背景を持つな人々なのに、エリンがいる舞台が移ると、背景の書割のように消えてしまう。魅力的な登場人物もいるのでもったいない気がする。

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コメント

はじめまして。掲載されている本があまりにも私が読んできた本とかぶるので、この喜びを伝えてたい!!という思いのあまり、コメントさせていただきます。この本の続き、読みたいですよね!

私も読んだ本についてブログに書いているのですが、YO-SHIさんが書かれたものを見て、「私が書いているものは書評じゃない・・・」ということに気付きました。そのあたり、突っ込まないで下さいね・・・。

投稿: 茉莉 | 2008年12月29日 (月) 23時08分

茉莉さん、コメントありがとうございます。

茉莉さんのブログ、拝見しました。
ここにコメントいただいたのは、この本が、茉莉さんが選んだ
2007年上半期ベスト1だったからですね。

確かに、読んできた本がかぶるようですね。具体的に何冊がかぶる
というより、読んでいる作家さんや好みがかぶってる感じがしました。
上橋菜穂子さん、有川浩さん、恩田陸さん...。

村上春樹さんの「羊をめぐる冒険」と「海辺のカフカ」が傑作で、
エッセイがさらに好き、なんて怖いぐらいです。
だいたい「羊~」を2つのうちの1つにもってくるなんて、
もしかして、結構古くからのファンとみましたが、違いますか?

「書評じゃない」の件ですが(突っ込まないでと言われているのに敢えて)
私はたくさんの記事をとても楽しく読みました。中学の司書教諭さんだ
そうで、人に本を薦めるのが上手いんじゃないでしょうか?
わたしもちょっと見習いたいと思います。
 

投稿: YO-SHI | 2008年12月30日 (火) 01時56分

「好みがかぶってる」なるほど。これからYO-SHIさんが紹介される本、私の読書計画の参考にさせてください!すでに『卵のふわふわ』、メモってしまいました。

投稿: 茉莉 | 2009年1月 5日 (月) 17時28分

茉莉さん、コメントありがとうございます。

「卵のふわふわ」は、私も他の方のブログで知ったものです。
もし読まれたなら感想を聞かせてくださいね。
すすめられて読んだ本は、100%良かったということはありませんが、
読書の幅は確実に広がります。読書ブログに関しては、一番の
効用だと思います。

ところで、この「獣の奏者」がNHKでアニメ化されるのは
ご存じでしょうか?1月10日からと、放送日が迫っていますよ。

NHKアニメワールド「獣の奏者エリン」
http://www3.nhk.or.jp/anime/erin/
 

投稿: YO-SHI | 2009年1月 5日 (月) 17時48分

知りませんでした!!教えていただいて有難うございます。「精霊の守り人」の評判がよかったからでしょうか。アニメで成功すれば続編が出るかもしれませんね。楽しみです。

投稿: 茉莉 | 2009年1月 6日 (火) 19時23分

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 今年の上半期ベスト1は、ぶっちぎりで上橋菜穂子『獣の奏者』に決定。守り人シリーズのファンだったので、迷わずウチ(中学校の図書館)にも入れました。(そして、閲覧室に出す前に私が読むという・・・職権乱用?)    美しい少女が、神聖な空飛ぶ獣を操り、並み居....... [続きを読む]

受信: 2008年12月29日 (月) 23時14分

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