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2006年7月

2006年7月26日 (水)

雲のオオカミ 崖の国物語外伝

著  者:ポールスチュワート 訳:唐沢則幸
出版社:ポプラ社
出版日:2003年3月第1刷
評  価:☆☆☆(説明)

 崖の国物語4巻「ゴウママネキの呪い」の主人公クウィントの、4巻に先立つ物語。崖の国物語の各巻が400~500ページの大部の物語であるのに対し、この外伝が120ページしかない。短編と言っても良いかもしれない。

 本書では、クウィントの父「風のジャッカル」が登場する。というより準主人公だ。クウィントは1~3巻の主人公トウィッグの父「雲のオオカミ」だから、これで空賊の三代記になるわけで、著者の考えもその辺りにあるのだろう。(ストックしてある本巻のどこに収まらなかったエピソードの一つを切り離して本にしたのではなくて)

 ページ数が少ないのでサッサと読めてしまった。訳者あとがきには、トウィッグの冒険1~3巻と4巻の橋渡し的な意味合い、と言っているが、4巻との関連はあるが、1~3巻とはつながらない。
 崖の国物語の世界観が気に入っている人には良いかも。小さなエピソードが積み重なることで、世界観の細部が出来上がっていくから。例えばトールキンの「シルマリオンの伝説」のように。

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2006年7月25日 (火)

デセプション・ポイント(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン 訳:越前敏弥
出版社:角川書店
出版日:2005年4月5日初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「ダ・ヴィンチ・コード」の著者による科学ミステリー。「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドンシリーズの間に、アメリカで2001年に出版された。
 ラングドンシリーズ2つでは、「キリスト教」を題材に読み手の好奇心を刺激して、特に「ダ・ヴィンチ・コード」は大ベストセラーになった。本書でのテーマというか、料理されるのは「NASA」だ。大統領選挙も絡んでくる。
 現代的なだけに、「本当にそうだったかもしれない」という、秘密の暴露的な興味はそそられない。しかしフィクションとして充分に楽しめる。宗教から切り離されているので、「ダ・ヴィンチ・コード」の映画化の時のような妙な反発も招かないだろう。(NASAは「事実と異なる」という無粋なことは言わないだろうから)

 ストーリーは、NASAの世紀の大発見(地球外生物)に対する疑惑を、主人公の女性が海洋学者らと共に解明していく。途中には「あり得な~~い」と叫びそうになることが、次々と起きる。「天使と悪魔」で、ラングドンがヘリから飛び降りて来たときにはびっくりしたが、今回はそれ以上だ。
 「あり得な~~い」ことが起きるハリウッドのアクション映画を楽しめる人にはおススメ。そういうのはシラけてしまう人には?どうだろう?

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「デセプション・ポイント(上)(下)」 固定URL | 3.ミステリー, 36.ダン・ブラウン | コメント (3) | トラックバック (1)

2006年7月13日 (木)

崖の国物語5 最後の空賊

著  者:ポールスチュワート 訳:唐沢則幸
出版社:ポプラ社
出版日:2004年8月第1刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 1~3巻で語られたトウィッグの物語から50年後。
 トウィッグたちが命を賭して崖の国を救ったのだけれど、それでめでたしめでたしとはいかなかったようだ。石の巣病なる浮遊石の病気によって、新サンクタフラスクは地上に落ちてしまい、飛空船は空を飛べなくなってしまった。
 深森との交易のために、泥地と薄明の森を突き抜ける「大湿地街道」が建設されたが、その実権をあの忌々しいオオモズたちに握られている。というのが本書の崖の国の状況。

 そして、学者たちは夜の守護聖団と図書館司書学会に分かれて覇権争いをして、敗れた図書館司書学会は、地下の下水道へと追いやられてしまった。今回の主人公は、この図書館司書学会で司書勲士に選ばれた若者ルークだ。
 冒険あり、友情あり、成長物語ありで、今までと同様楽しめる。5巻目になるので、そろそろかと思っていたが、過去の登場人物たちとの意外な関係などが徐々に明らかになり、重層的な面白みも出てきた。

 ただ、この司書勲士たちの使命というのが、何かに打ち克つとか、問題を解決するとかではなくて、純粋にというか単純に深森の研究であることが何とも解せない。研究者は研究に人生を掛けるものなんだろうけど、それでも命がけで深森の「自由の森」まで脱出して、そこで更に厳しい訓練を受ける必要があるのか。いったいその先には何があるというのだろう。

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「崖の国物語5 最後の空賊」 固定URL | 1.ファンタジー, 17.P・ステュワート(崖の国) | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月 6日 (木)

影との戦い ゲド戦記1

著  者:ル・グウィン 訳:清水真砂子
出版社:岩波書店
出版日:1976年9月24日第1刷 1989年4月10日第18刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 指輪物語、ナルニア国物語と並んで世界三大ファンタジーの1つとされる。著者のル・グウィンはアメリカ人、SF界の女王、「西の善き魔女」とも言われている。ゲド戦記は現在のところ全6巻あり、本書は1968年に出版されたのに対し、5巻目、6巻目の外伝と「アースシーの風」はなんと2001年、33年の長い時間が流れている。

 本書は、主人公ハイタカ(本名はゲド、この世界では本名は魔法的に大変大きな意味を持つので、普段は通称で生活している)の生い立ちから、魔法使いとしての自立を迎えるまでを描く。
 善と悪、光と影といった2つの相反するものからなる世界観を色濃く感じさせる。そして言葉の力が強い。今も竜たちが使う古代の言葉は魔力を持っているし、その物の本当の名前を唱えることで相手を支配することもできる。「陰陽師」で、清明が同じようなことを言っていた。言霊信仰とともにこういった考えは、呪術に共通のことなのかもしれない。

 ストーリーは、主人公ハイタカが、己の未熟さゆえに、暗黒から影のようなものを引き出してしまい、それに追われる運命を背負う。そして、いくら逃げても最後にはそれと対決しなくてはならない。その影の正体は...、といったもの。少年から青年への成長と自立の物語だ。
 全編、呪術的な雰囲気が重く感じられるが、今後が楽しみな滑り出しだ。
 

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2006年7月 1日 (土)

空が落ちる(上)(下)

著  者:シドニィ・シェルダン 超訳:天馬龍行
出版社:アカデミー出版
出版日:2001年9月10日第1刷
評  価:☆☆☆(説明)

 久しぶりのシドニィ・シェルダン。本書が米国で出版されたのが2000年、1917年生まれというから83歳の時。2004年には「Are You Afraid of the Dark?」という小説、2005年には、回想録「The Other Side of Me」を出版しているから、まだ書けるのだろう。いったいいつまで執筆し続けるのか?こうなったら100歳のベストセラー作家を目指してもらいたい。

 本書の主人公は、サラエボの内戦を現地からレポートして一躍有名になったジャーナリストのダナ。今はニュースキャスターをやっている。大富豪の家の連続する事故死に陰謀のにおいを感じて、独自に取材を進める。
 舞台は、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、そしてロシアと目まぐるしく変わる。ストーリーを進めるために必要な証言を、それぞれの場所で得るために行く。まるで、ロールプレイングゲームのような趣だ。

 シェルダンらしく、ラストの100ページあたりにはいろいろな謎が解けて、スリル満点の展開も用意されている。それを楽しめば良いのだと思う。しかし、「何かあるはず」と、登場人物の行為を裏読みしながら読むせいか、私は早々に種明かしが分かってしまった。もちろん、著者も分かるようなヒントを随所にちりばめてくれている。そんなことまで書かなくてもいいのに、というエピソードも含めて。
 そんな数あるエピソードの中で、宙ぶらりんなままのものがある。主人公のボス(会長)が、ダナの居場所を知らないはずなのに知っていた、というくだり。
 普通なら、会長も敵の一味かそうでなくても何らかのつながりがあると思うが、彼は最後まで味方のままで、そのエピソードについての説明は見当たらない。どうしてだろう?

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