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2006年3月 5日 (日)

脳内汚染

著  者:岡田尊司
出版社:文藝春秋
出版日:2005年12月15日第1刷 2006年2月1日第3刷
評  価:☆☆(説明)

 またもやヒステリックなゲーム・ネット排撃論が出版されてしまった。
 冒頭に国内外の少年少女による悲惨な事件を持ってきて不安をあおった他は、前半は抑え気味で、「こうした傾向を持つ子が、メディアに引き寄せられやすいのではないか」という疑問も生じる、などと反論ににも配慮を見せた書き方をしている。
 しかし、後半になると徐々にテンションが上がり、遂には少年犯罪はもちろん、不登校、引きこもり、家庭内暴力、ニート、学級崩壊、ADHD、DV、虐待、性犯罪、自殺と、およそ考えられる全ての現代の不都合な部分を、メディアのせいにしてしまう。
 そして、メディアに対して厳しい目を向けなければ、「将来あなたの子どもを殺人者にしたり、自殺させることになるかもしれない」と結んでいる。これでは脅しだ。子どもを人質に取った悪質な脅しだ。
 メディアリテラシーの必要性について、僅か4ページではあるが触れてはいる。しかし、こんな脅し文句を投げつけられては、メディアリテラシーのことなど、読者の心には残らないだろう。現に作家の柳田邦男氏は、雑誌の記事の中で「学校からパソコンをなくせ」と主張している。メディアを取り上げてしまったら、メディアリテラシーを身につけることなどできるはずもないのに。

 本書の中で多用されているのが、「寝屋川調査」といわれる調査で、中学生とその親4,000人へのアンケート調査だ。「ゲームを1日4時間以上する子は、それほどしない子と比べて○○と答える割合が△倍多かった」というもの。調査結果を使うなら、△倍という表現ではなく、結果の数値そのものを示すべきだと思う。また、多くのグラフは0を原点としないグラフだ。こうすれば、僅かな差でも強調される。作為的にやっているとしたら、これもいただけない。

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