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2005年8月

2005年8月19日 (金)

書剣恩仇録 一~四

著  者:金庸 (訳:岡崎由美)
出版社:徳間書店
出版日:(一)1996年10月31日初版
     (二)1996年11月30日初版
     (三)1996年12月31日初版
     (四)1997年1月31日初版
評  価:☆☆☆☆(説明)

 中国の武侠小説と言われる分野の小説。
 武侠小説とは、武芸に秀でた英雄豪傑の活躍する歴史小説のことらしい。そう言えば、水滸伝や三国志演義などの古典にも、人並みはずれた能力の持ち主が、大勢登場して入り乱れて活躍する。これらの古典が源流なのだろう。

 それで本書だが、これが大変に面白い。紅花会という高潔の士の大結社の面々が主人公。対するは清の朝廷。舞台はモンゴルから北京、江南と広い。次々に危機に見舞われ、目まぐるしく場面が転換する。
 非難するわけではないが、この読みやすさ、面白さの理由は、マンガ的、アニメ的であるところだろう。意味は、多少現実味を無視しても、面白ければ良いとうこと。
 例えば、結社の親分が絶体絶命の危機に瀕していると、なぜか大勢の人が駆けつけて来て、一緒に戦い出す。広い砂漠の中で、偶然通りかかったなんてのもお構いなし。飛び降りた人を、後から追いかけて降りて追い付くなんてのもOK。
 大衆受けする要素もテンコ盛りだ。出生の秘密、恋愛と三角関係(登場する主な4人の女性は、全員美貌の持ち主で、誰かと恋に落ちる)、そして復讐、何だか韓流ドラマみたいだ。正義と悪。朝廷に対抗する義を重んじる人々。計算されつくしたストーリーなのだろう。

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2005年8月 3日 (水)

統計でウソをつく法

著  者:ダレル・ハフ (訳:高木秀玄)
出版社:講談社
出版日:1968年7月24日第1刷 1981年3月27日第26刷
評  価:☆☆☆(説明)

 著者は、社会心理学、統計学、心理テストなどの研究者。本書では「統計」を使ってウソというか、目的とする結論をうまく導き出す方法がいくつも紹介されている。もちろん、そういうことをするための手引書ではない。統計情報やグラフを見るときにはよく注意することを促すための本である。
 内容は、サンプリングの偏り、平均の取り方といった、調査集計の際のウソ、グラフの書き方などの表現の際のウソ、こじつけや過大評価といった分析の仕方のウソ、などである。
 実際に、統計や記事を前にして気付くことができるかどうかは別にして、まぁ、多くは真っ当な批判精神がある人ならば、統計というものに対して、何となく信用ならないと感じていると思う。(調査資料を振りかざして、唯一絶対の真理のように主張する人もいるけど)それぞれの事例は、なるほどとは思うけれど、目新しいものではなかった。

 1つだけ、注目したのは、「相関関係」と「因果関係」の混同について指摘した部分。AとBが同時に、または前後して起きる場合、「AとBは相関関係が強い」とは言えるが、「AはBの原因になっている」と言ってしまうのは、短絡的だという。
 ABに共通の原因があれば、相関関係は強くなる。だからと言って、Aを抑制してもBは減らない。もっと言えば、偶然同じ傾向を示すことだってある。
 何年か前に、「自然体験、生活体験が豊富な子どもは、正義感、道徳観が強い」という、文科省の調査を見て、なるほどそういうものか、と思った経験がある。しかし、これを持って、正義感のある子どもに育てるために、せっせと自然体験を子どもにさせる、というのは短絡的なのだ。
 「テレビを長時間見る子はキレやすい」と言って、「子どもにはテレビを見せるな」というのも短絡的。「日に5時間以上テレビを見る子にキレやすい傾向が強い」という調査も見た。これなんか、そもそも学校に行ってて、家に居る時間が限られている(午後4時に帰って10時に寝れば6時間だ)子どもが、5時間以上もテレビを見ている家庭環境ってどうよ、と言いたい。家庭環境という共通の原因が生み出した相関関係ということだと思うが、どうだろう。

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