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2005年7月

2005年7月27日 (水)

クリティカルチェーン なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

著  者:エリヤフ・ゴールドラット (訳:三木本亮)
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2003年10月30日第1刷 2003年11月13日第2刷
評  価:☆☆☆☆☆(説明)

 TOC理論の提唱者の第4弾。今のところこれが最新刊。
 今回はTOC理論をプロジェクト管理に応用する。著者は前々からTOC理論は生産現場のスループットの向上だけではなく、もっと広範囲な応用分野を持つと言っている。しかしながら、第2弾の「思考プロセス」が、正直なところ理論は分かるが実用となるとどうも、という感じがして、応用はムリなのではないかと思っていた。
 今回のプロジェクト管理への適用は、この思いを覆すもので、大変に有用なのもの、言い換えれば「使えそう」な感じがする。やはり、TOCは、ボトルネックやドラム・バッファー・ロープや、バッファーマネジメントを中心とした展開が、実用的でわかりやすい。

 プロジェクト管理への応用では、プロジェクトの長さを決定する、PERTチャート上の最も長いパスを制約条件として、その他の合流するパスをこれに合わせる。この最も長いパスをクリティカルパスという。そして、バッファーはクリティカルパスとの合流点と、プロジェクトの最後だけに置く。これがミソだ。
 つまり、従来のように個々の作業の期限をそれぞれに決めると、それぞれに余裕をみてしまい、全体としては過大なムダをはらむことになる。しかも「学生症候群」(余裕があると思うとすぐには着手しないこと。言い得て妙だ)で、空いた時間はつぶされてしまうのだ。
 それから、複数のプロジェクトで共有するステップはボトルネックだ。これを中心に考えれて、複数のプロジェクトにわたるクリティカルパスをクリティカルチェーンと言う。

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2005年7月19日 (火)

ナルニア国物語7 さいごの戦い

著  者:C・S・ルイス (訳:瀬田貞二)
出版社:岩波書店
出版日:1966年12月1日第1刷 1984年9月10日第19刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ナルニア国物語の最終巻。ナルニアの世界は、前巻で誕生した時の逆をたどって、ただの暗黒に戻ってしまう。世界には寿命があり、それは誰にも逆らうことができないのか。アスランも今回は危機に瀕するナルニアを救おうとはしない。時の巨人に命じて全てを暗黒に戻し、その最後に良き者だけを救い出しただけだ。これは、とても宗教的だ。ノアの大洪水や終末思想を思い浮かべさせる。

 今回の第一の悪者はサルだ。ライオンの毛皮をロバに着せて、アスランだと皆をだます。まさにサル知恵なのだが、これに大方の人間や動物たちはだまされてしまう。小人なんぞは、本当のことが分かった後も、今度は何も信じることができなくなって、自分たちだけのナルニアを手に入れようとする。ルイスは大衆の愚かさを感じていたのではないか?

 滅び行くナルニアからドアを通って逃げのびた所は、やはりナルニアだった。そこからさらに高く遠く行った所もナルニア。真のナルニアとその影のナルニア。そして、その先にはアスランの国、天国だった。死んでしまった良き者がそこでは生きているし、ピーターたちは、自分たちの世界では事故で死んでしまっている。

 「正しい神に対する邪な信心もないし、悪い神に対する邪な信心もない」と、アスランは言う。何を信じるにしても正しい信心かどうかが問題、ということか?それから、「内側は外側より大きいものですよ。」という言葉も印象的だ。外から見えるものより、内面の方が豊かで大きいということだろうか?

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2005年7月17日 (日)

アブダラと空飛ぶ絨毯 -ハウルの動く城2-

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (訳:西村醇子)
出版社:徳間書店
出版日:1997年8月31日初版 2004年11月10日32刷
評  価:☆☆☆☆☆(説明)

 映画「ハウルの動く城」の原作「魔法使いハウルと火の悪魔」の姉妹編。題名に「ハウルの動く城2」と書いてあるのだが、ハウルその人は、残り15ページというところになってやっと出てくる。実は、もっと前にも登場するのだが、読者には分からない。主人公もアブダラという青年だし。ハウルの動く城の続編だと思った人は裏切られることになる。このタイトルはいかがなものか。

 タイトルには不誠実さを感じるが(おそらく著者のせいではない。日本の出版社が付けたのだろう。それも最近になって付けたのかも)、物語は「ハウルの動く城」より完成度も高いし面白い、それに分かりやすい。ジブリはこっちも映画化すればどうだろう。
 今回は、主人公アブダラには、結婚を約束した恋人「夜咲花」を助けるという目的がある。旅の道連れもいる。敵役もいる(これが、完全な悪人ではないところがニクい)。そして最後にタネ明かし。何となくアラビア風の雰囲気もあって、面白くなる要素がギッチリ。

 「魔法使いハウルと火の悪魔」を読まずに、これだけ読んでも楽しめるが、最後のタネ明かしは面白くないだろう。つまり半分しか楽しめない。「ハウルの動く城2」としたのは、1を読んでから読め、というサインなのかも。

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2005年7月14日 (木)

チェンジ・ザ・ルール

著  者:エリヤフ・ゴールドラット (訳:三木本亮)
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2002年10月10日第1刷 2002年10月25日第3刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「ザ・ゴール」の著者でTOC理論の提唱者の第3弾。
 第1弾の「ザ・ゴール」は、「ドラム・バッファー・ロープ」と「バッファー・マネジメント」からなるTOC理論の核心部分、第2弾の「ザ・ゴール2」は、「思考プロセス」という問題解決技法をそれぞれ紹介した。なかなかインパクトのある本だった。

 この第3弾には、そうした新しいコンセプトや理論はない。TOC理論を応用した企業改革のケーススタディといったところ。しかし、ストーリー全体を流れる考え方は有用だ。「コンピュータシステムを導入してどのように利益をあげるのか」ということだ。
 私も企業の情報システムに携わったことがあるので、登場するERPメーカーのとまどいや驚きが良くわかる。決算書が早くできる、全社のデータが翌日にはわかる、5人で処理していた伝票を1人でできるようになる。コンピュータシステムにはそうしたメリットがある。そう、確かにメリットはあるのだが、「いくら利益に貢献するのか」はわからない。大金を投じる以上、それを上回る利益が見込めなくてはならないのだが、それはわからないのだ。

 利益をあげるためのコンピュータシステムの導入はこうすると、著者は言っている。
(1)コンピュータシステムは、何らかの限界を取り除くために導入する。
(2)その限界が存在することを前提に作られたルールのままでは効果は出ない。ルールも変更する必要がある。
(3)新しいルールに合わせ、コンピュータシステムにはどのような変化が必要か、さらに考える。

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2005年7月 4日 (月)

心理テストはウソでした 受けたみんなが馬鹿を見た

著  者:村上宣寛
出版社:日経BP社
出版日:2005年4月4日初版 2005年5月11日3刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 血液型による性格判断からロールシャッハテスト、矢田部ギルフォード、クレペリン検査と、様々な心理テストの「いい加減さ」をバッサバッサと切りまくる。著者は富山大学の教授で、認知心理学の先生で、学生にこういった性格診断についても教えているそうだ。もちろん、こんなものはウソッパチだと言いながら。

 血液型による性格判断は、前からウソくさいと思っていた。統計をとればそういった傾向が見られるという説明はよく聞くが(A型は神経質、B型は自己中心的といったたぐいのもの)、その因果関係は統計では証明できない、と。
 ところが、コトはもっと悪質で、統計でそういった傾向がでることさえないのだそうだ。つまり、全くのデタラメ。1933年に日本法医学会総会で正式に否定されている。
 こう聞いても別にハラも立たない。「やっぱりそうか」ぐらいにしか思わない。しかし、問題なのは、教育関係者や警察など、血液型による性格診断を信じて「利用している」ことだ。そう言えば、テレビでもよくやっている。こういうのはエセ科学として、有害な情報の流布にはならないのだろうか。

 ロールシャッハのブラインドテストの結果が見ものだ。被験者を伏せて、結果を診断させるのだが、これが全くのハズレ。その被験者の本当の姿とは全く合致しない、トンでもない診断が出てきてしまうのだから、お笑いだ。この一件以来、専門家の間では、同種のテストは行われなくなったそうだ。
 昔、フロイトの「夢判断」を読んだが、長いものは何でも「男性のシンボル」で、丸いものは女性のそれ、という具合に、夢で見たものが何でも性的イメージとされてしまう。ここから一歩も進歩していないのではないか。

 最後のクレペリン検査は、今でも自治体や教員の採用試験に使われるそうだ。この検査は、診断の仕方を知っていれば、簡単に正常値を出せるし、逆に、実験を繰り返していくと、正常者が1割ぐらいにまで減ってしまうそうだ。こんな検査をまじめにやっていて良いのか?

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