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2005年6月 8日 (水)

検証 松本サリン事件報道

著  者:テレビ信州
出版社:龍鳳書房
出版日:2001年3月4日発行
評  価:☆☆☆(説明)

 オウム真理教が係争中の裁判の裁判官の殺害を目的として、住宅街に猛毒のサリンを噴霧し、7人が死亡、数百人が被害を受けた「松本サリン事件」の報道を巡る顛末記。
 当初、第一通報者の河野義行さんが犯人視されていた。報道各社もこぞって、河野さんが犯人であるという前提で報じていた中で、テレビ信州は「裏付けの取れない情報は報道しない」という方針の下で、「農薬の調合ミスで毒薬を発生させてしまった」などの報道を行わなかったそうだ。同社は、この事件報道を端緒に、メディアリテラシーというものの活動を進めていくことになる。

 まぁ、他の報道と比べると、テレビ信州の姿勢は格段に良かったと言える。しかし、内実は英雄視するようなものではなく、限られたスタッフと取材能力のために、なかなか情報が得られない中で、他と同じような見切り発車をしなかった、ということらしい。
 本書は、当時の現場の様子が伝わって来て面白い読み物になっている。その一方で、現場の細かい動きが明らかになるに従って、背筋が寒くなる思いも募る。河野さん犯人説を疑うべき事実は、いくつも明らかになっていたらしい。にも関わらず、地下鉄サリン事件まで、その疑いは晴れなかった。警察は人権を軽視した取調べを行っていたようだ。ジャーナリズムは何をしていたのか、がもっと検証されるべきだと思う。ジャーナリズムが明らかにすべきは真実であり、戦うべき相手は悪と、市民に敵対する公権力だったはず。
 誰かを標的にしてたたきまくるような報道は今も続いている。報道各社は、この事件について、それぞれ反省や謝罪を口にしたが、進歩はしていないようだ。

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