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2005年3月

2005年3月31日 (木)

マッキンゼー式 世界最強の仕事術

著  者:イーサン・M・ラジェル(訳:嶋本恵美、田代泰子)
出版社:英治出版
出版日:2001年4月20日第1版 2001年5月20日第10刷
評  価:☆☆☆(説明)

 マッキンゼーの問題解決のノウハウを紹介したもの。本当のノウハウはこんな本を読んだぐらいでは身に付けることができないのは当然なので、著者の責任ではないかもしれないけれど、この本を読んでも仕事ができるようにはならない。それでも、世界最大のコンサルティングファームの内幕が少し覗ける。ためになる話もけっこうある。
 要点を3つ挙げると(マッキンゼーでは、3というのがマジックナンバーなんだそうだ。どんなことでも、3つにまとめて表現すると良いらしい)、「問題を構造分析して構成要素に分けること」「問題解決の当初仮説を立てること」「リサーチの重要性」といったところか。(正直言って、3つ目はムリやり考え出した)
 構造分析と言うのは、一見どうしたらよいかわからない問題も、分析してバラバラの要素に分解すれば、それぞれは単純化されるので、解決策を考えやすい、ということだ。当初仮説と言うのは、問題解決策を仮に立てて、それを検証するプロセスで真の解決策に近づくことができる、ということだ。ここで大事なのは、当初仮説は攻撃するために立てるものなので、その仮説を補強することを目的にデータを探すということはNGだ。本末転倒になってしまう。

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2005年3月21日 (月)

シックス・センス

著  者:ジム・デフェリス(訳:酒井紀子)
出版社:竹書房
出版日:1999年11月4日初版 2000年6月19日第10刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ブルース・ウィスル主演映画のノベライズ、いや、解説によると映画の初期脚本を基に執筆されたものらしい。
 最後の最後にアッと驚くオチがあるのだが、その落とし方があまりに見事で、本当に「アッ」と声を出してしまった。意地悪く、どこかにその結末と矛盾するところはないかと、ページをめくってみたけれど、さすがにそういうところはなかった。強いて言えば1つだけ、読んでいる最中にも気になったのだが、主人公マルコムはどういう経緯でコール少年のカウンセリングを行うことになったのかが不明な点。母親からの依頼があったのだろうと思っていたが、それでは結末と相容れない。
 コール少年は、死者を見ることができる。話をすることも可能なようだ。考えてみると、その土地で死んだ人というのは、人類の歴史の長さを考えるとおびただしい数になる。死んだ時の状態のままなんだそうだから、その恐ろしさは想像を絶する。その点では、ホラー小説なのだが、ヒューマンドラマとしても読み応えがあった。

 映画ではスキップしてしまったエピソードも、本書では描かれているそうだから、本書を読んでから映画を見ると、より深く鑑賞できるだろう。

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2005年3月18日 (金)

天使と悪魔(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン(訳:越前敏弥)
出版社:角川書店
出版日:2003年10月30日初版 2004年11月30日第16版(上)、7月5日第5版(下)
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ダ・ヴィンチ・コードの作者による、謎解きスリラー。アメリカの象徴学者ロバート・ラングドンが活躍するシリーズの第1弾。つまり、ダ・ヴィンチ・コードより前の作品ということになる。
 シリーズ物だから仕方ないのかもしれないが、父や祖父を殺された女性とともに、キリスト教に関する謎解きをしながら、絶体絶命の危機を切り抜けていく、その背後には秘密結社や殺し屋、というストーリーは2つの作品であまりに酷似している。作者のスタイルと言えばそれまでだし、面白ければ問題ないとも言える。とは言え、3作目、4作目と続けるのは難しいだろう。
 そして、2作目までは大変に面白い。だから問題なしとしておこう。本書では、24時間というタイムリミットの存在と、失敗した場合には1つの国が破滅するという危機感のためか、ダ・ヴィンチ・コードより面白く読めた。
 ダ・ヴィンチ・コードの成功までは、著者は全くの無名であったことを思えば、本書が日本語訳されて読むことができたのは運が良いと言える。2作目を著者が出さなかったら、目に触れることもなかったのだから。

 このシリーズの面白さは、考古学上の事実や新発見とフィクションをうまく織り交ぜることで、その境界上での知的な遊びを創造していることにもある。小説の中であげられる数々の指摘は、もしかしたら真実なのかも、と思わせる説得力があり、好奇心をくすぐる。巻末にある謝辞を見ると、著者が丹念な取材をしたことが垣間見える。

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2005年3月10日 (木)

魔法使いはだれだ 大魔法使いクレストマンシー

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(訳:野口絵美)
出版社:徳間書店
出版日:2000年8月31日初版 2001年10月15日第2刷
評  価:☆☆☆(説明)

 ジブリによる映画化で有名になった「ハウルの動く城」の原作者の本。「ハウルの動く城」は1986年に発表、本作は1982年発表なので直前と言っても良いだろう。しかし、著者は1970年に最初の作品を発表後、2005年までに単行本で44作、年に3作という年もある多作の著者だ。
 本作は、「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ4部作の3作目。どういうわけか、徳間書店のこのシリーズでは1番初めに出版された。
 クレストマンシーとは、魔法の使われ方を監督し、問題が起きると駆けつけて解決するという役職の名前。本書は、そのクレストマンシーシリーズの作品なのであるが、彼が登場するのは288ページの本の中で、200ページを過ぎてから。それも、窮地に陥った子どもたちが「クレストマンシー!」と叫ぶと現れる、というまさに正義の味方の登場パターンだ。颯爽と現れて、鮮やかに解決してしまう。解決が素早い分、それまでの学園生活の描写が長々しく感じてしまう。寄宿学校という閉ざされた舞台でのいじめなど、ちょっと滅入る部分もある。
 舞台となったのは、魔法が禁止されていて、魔法使いだということが分かると火あぶりにされてしまうという、恐ろしい世界。なのに、結局はクラスのほぼ全員、校長までが魔法使いだった、という結末は意外といえばそうだけど、こんなんで良いのかしらと思った。しかし、学園者ゆえに登場人物が多めなのに、それぞれの個性が丁寧に描写されていたり、飽きさせない語り口はさすが。

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2005年3月 8日 (火)

アーサー王最後の戦い サトクリフ・オリジナル3

著  者:ローズマリ・サトクリフ (訳:山本史郎)
出版社:原書房
出版日:2001年5月5日初版
評  価:☆☆☆(説明)

 サトクリフ・オリジナルのアーサー王3部作の最終刊。
 前2刊と比べると、アーサー王の死と王国の崩壊という結末へ向けてストーリーが一気に流れる、ドラマチックな展開となっている。正直に言って前2刊は退屈な感じが否めなかった(特に2刊)。しかし、本書は違う。違うと言えば、今回は騎士たちの様子と言うか、描かれ方が違うように思う。
 アーサー王と胤違いの姉の間の子という出自を持つモルドレッドが、アーサー王の宮廷の騎士でありながら、悪の化身のように描かれているのは、ドラマには敵役が必要だから仕方ないだろう。しかし、その他の騎士たちはどうだろう。
 いとこを殺されたことを根に持って、決闘でなく毒殺しようとしたり、そそのかされて王妃を疑ったり、あげくに王妃に横恋慕してさらって行ってしまうやつまでいたりする。勇敢で誠実で忠義を重んじる騎士道精神はどこへ行ってしまったのかというありさま。
 そんなだから、昨日まで主従関係ながら親友だった、アーサー王とランスロットは敵対し、ガウェインはランスロットの命を狙うことになり、最後にはモルドレッドの術中にはまってしまう。 今回は、アーサー王も多くの過ちを犯す。モルドレッドに王国を任せて出兵したのはその最大のものだ。

 訳者注にもあったが、この物語はアーサー王の物語でありながら、真の主人公はランスロットではなかったか。彼だけが、最後まで騎士らしくあった。王妃に恋してしまったという1点を除けば、完璧な騎士だった。

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2005年3月 6日 (日)

サー・ガウェインと緑の騎士 トールキンのアーサー王物語

著  者:J・R・R トールキン(訳:山本史郎)
出版社:原書房
出版日:2003年2月28日 第1刷
評  価:☆☆☆(説明)

 トールキンが書いたアーサー王物語の1つ「サー・ガウェインと緑の騎士」と、詩の「真珠」と、ギリシャ神話を基にした「サー・オルフェオ」の3編を収めたもの。
 この3編とも中世の英国で書かれたものらしい。つまり、これらは、純粋な意味でのトールキンの作品ではない。中世の英語で書かれた物語をトールキンが現代英語に訳し、それをさらに日本語に訳したものを読んでいることになる。
 実は、「サー・ガウェインと緑の騎士」を読んで、前に読んだサトクリフが書いた物語と、かなり細部まで同じであることに驚いたのだが、そういう事情なのだ。つまり、基になる話(作者不詳)があって、それを二人が現代語訳を発表し、その日本語版が日本で出版される。瀬戸内寂聴と谷崎潤一郎が源氏物語をそれぞれ現代語で発表し、それを英語にしたようなもの。それぞれの訳者が現代語に込めたニュアンスなど伝わりようもないのだから、「同じだ」と思っても仕方ない。
 現に、古英語では頭韻が多用されていて、トールキンは現代語訳の際にもそうした響きを伝えようとしたらしい。しかし、日本語にした時にそれを伝えるのは至難の技。
 80ページ近くの詩としては大変に長い「真珠」が、いささか退屈だとしても、トールキンの責任ではない。宗教的社会的なバックグラウンドが異なっているので、解説を読むまで何が何だか分からなかった。

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