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2005年1月

2005年1月22日 (土)

ナルニア国物語5 馬と少年

著  者:C・S・ルイス (訳:瀬田貞二)
出版社:岩波書店
出版日:1966年11月1日初版 1986年6月15日第23刷改版 1994年5月16日第31刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 1巻でナルニアにやって来たピーターたちがナルニアの王となって治めているころの話。と言っても、物語の舞台はナルニアではなく、隣国のアーケン国と、更に南のカロールメン。主人公もアーケン国の王子たち、人間の子どもたちはほんの少し、脇役としてしかでてこない。言わば、ナルニア国物語外伝、というところか。少し趣向も変わって面白い。ナルニアが属する世界の世界観を重層的に補完する効果がある。

 話は、カロールメンの孤児が実は王子だったとか、親が決めた結婚を嫌って逃げ出した女の子だとか、昔から何度も物語に取り入れられてきた筋書き。もっとも、ルイスがこの話を発表したのは50年も前、その頃にすでにこういった筋書きが多くの物語でされていたかどうかは分からない。
 ナルニアのスーザン女王に横恋慕した、カロールメンの王子は、アーケン国を不意打ちして攻める。カロールメンの王は、失敗した時にはその責任を全部王子に押し付ける気でいる。などと、今度の話は随分と人間くさい。そう言えば、魔女とか魔法使いが出てこない。ちょっとした人間ドラマとしても読めそうだ。

 ところで、今回のアスランは、今までと違うように思う。主人公の2人と馬2頭を出会わせるために追いかけたり、召使の痛みを分からせるために主人公の背中に傷をつけたりと、人間への介入が強いようなのだけど。何か理由があるのか。

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2005年1月19日 (水)

ITに殺される子どもたち -蔓延するゲーム脳-

著  者:森昭雄
出版社:講談社
出版日:2004年7月15日発行
評  価:☆☆(説明)

 「ゲーム脳の恐怖」と同じ著者による同様の警告を発する本。今回はテレビゲームだけではなく、パソコンや携帯電話、マンガ本にまで対象を広げているが、基本的には前書と同じ。こういったものを長時間やっていると、前頭前野の劣化を招く。前頭前野や判断力や理性などの「人間らしさ」を司る部分。最近の凶悪犯罪の原因は、このゲーム脳だろう。ということ。
 この度は、128ヵ所に電極を付けて脳の活性度を測定するといった、大掛かりな装置で、ゲーム、メール、読書、パソコンの画面での読書、音楽鑑賞などの最中の脳の状態をモニタしている。様々なケースを比較するのなら、同じ被験者でなければ比較の意味がないと思うが、並んでいるデータは大人だったり3才の幼児だったりでバラバラ。どういうつもりなのかと、唖然としてしまった。
 「情報教育すべてを否定する訳ではない」というような、文言も入っている。前書以降、少しは反省する部分もあったのだろう。しかし、そうであれば尚、このタイトルはひどい。

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2005年1月11日 (火)

人間になれない子どもたち

著  者:清川輝元
出版社:枻出版社
出版日:2003年4月30日発行 2003年11月30日第4刷
評  価:☆☆(説明)

 本書の主張はこうである。
 1960年~70年代以降、産業構造の変化や核家族化などによって、子どもたちが成長するための場が急速になくなってしまった。物理的な遊び場もそうだし、大家族や地域社会などの環境もそうだ。そこに、1980年代以降、テレビゲーム、パソコンなどのメディアが、子どもたちから時間までも奪っている。この国の未来が心配だ。
 そして、こう提言する。
 「教育の原点は家庭」と、声高にスローガンを掲げても、もはや家庭には教育をする力がないのだから、意識して子どもが育つ場を作ろう。母親を含めて子どもがドロップインできる(溜まれる)場を作ろう。そして時間を作るためにテレビを消そう。
 こうも言う。「メディアを一方的に敵視、排除するのではなく、メディアに振り回されず、メディアをコントロールできる力を子どもたちに育もう。」

 ゲーム脳の研究を科学的と評する部分以外は、まじめな良い主張だと思う。しかし、子どもとメディアについて、混乱を招きかねない部分もある。
 2,3才までのテレビの繰り返し視聴は、脳の発達への悪影響が懸念される症例が報告されている。因果関係はまだ定かではないが、注意が必要だ。しかし、それ以上の子どもや大人にとっては、テレビを見ていて、その他の時間がないというのは困ったことだが、それはメディアの存在が悪いのではない。
 こうした区別をはっきりしないと、「ゲーム脳」の話とくっついて、「1分ゲームをすれば、1分分脳が壊れる」という、ヒステリックな主張が出てくるのだと思う。

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2005年1月 9日 (日)

ダレン・シャン5 バンパイアの試練

著  者:ダレン・シャン (訳:橋本恵)
出版社:小学館
出版日:2002年7月1日初版 2004年4月20日第9刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ダレンに課せられた試練の巻。
 第一の試練は、水が満ちてくる迷路を抜ける。17分で水が天井に達する。第二の試練は、鍾乳洞の中を通る。落ちてくる鍾乳洞に刺されたら終わりだ。第三の試練は、火が吹き上がる部屋に15分間こもる。ここまでは何とかこなした。
 第四の試練は、狂った熊二頭と戦うこと。ここでリトルピープルが助けに入ってしまったことで、ダレンは窮地に立つことになる。

 「ハリーポッターと炎のゴブレット」で、ハリーが試練をこなしているのと並行して、ヴォルデモートの陰謀が進んでいたように、ダレンが試練をこなしている間にも、バンパニーズが大挙してバンパイア・マウンテンに潜んでいた。その目的はまだ分からない。次巻に期待。

 ところで、バンパイアは高潔な種族で、不正を嫌うはずなんだけど、死ぬのを避けて逃げ出してしまったダレンに未来はあるのだろうか?

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ゲーム脳の恐怖

著  者:森昭雄
出版社:日本放送出版協会
出版日:2002年7月10日発行
評  価:☆(説明)

 テレビゲームを継続的にやると脳の前頭前野の機能が衰える。前頭前野は、判断力など人間らしさを司る場所。すなわち、「テレビゲームをやると人間らしさを失う」と、本書は訴えている。
 事前に本書に対する反対意見を目にしていなければ、この主張をうのみにして、ゲームを敵視していたことと思う。しかし、冷静に見ると、おかしな点がいくつもあることが分かる。(トンデモ本に認定されるのも分かる)

本書の主張が拠って立つのは、ゲーム中の前頭前野から発する脳波のβ波だ。
1.テレビゲームをやっている最中には、α波が増えβ波が減る。
 (脳科学の専門家からすれば、まずこの主張や計測方法にも異論があるそうだ)
2.これは痴呆患者の脳波と似ている。
3.よって、ゲームをやる人の脳は痴呆患者の脳のような状態になる。
という論理展開。(ちなみに、普通の人の安静時の脳波も同じようなパターンだ)

 このことの証明のために、「ゲームをよくやり」「物忘れがひどい」「態度の悪い」学生を1人連れてきて、ゲームをやらせて脳波を測っている。しかし、これでは証明にならないだろう。前頭前野の働きが著者の言うとおりであれば、この問題を抱えた学生の脳波に予想通りのパターンがあったとしても不思議はない代わりに、何も証明していない。ゲームと脳波との因果関係さえ分からない、ましてや、脳波と問題性向との関係は著者の独断でしかない。
 「不安」も人の行動の強い動機に成り得る。多くの人、特に子を持つ親を不安に陥れる本書が思いの他有名になったのは、そういう理由だろう。批判のために読むのなら良いが、読んで益のある本ではない。

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2005年1月 5日 (水)

ダレン・シャン4 バンパイア・マウンテン

著  者:ダレン・シャン (訳:橋本恵)
出版社:小学館
出版日:2002年4月20日初版 2004年4月20日第10刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ダレンとクレプスリーは、ダレンをバンパイア元帥に紹介し、ダレンを半バンパイアにしたことについて、認めてもらう、あるいは責任を裁いてもらうために、12年に1度のバンパイア総会に出席しようと、バンパイア・マウンテンへ行く。
 少年を半バンパイアにしてしまったクレプスリーには、相当な責任があるらしい。そして、そのためにダレンが厳しい試練を受けることになった。もし失敗すれば、死ななければならない、というところまでがこの巻。
 これから6巻までが、1つのストーリーになっているらしい。そのためか、色々なことが後の巻の伏線となっていて、この巻では未解決なまま残っている。
 新たな登場人物も続々と現れて、話の幅や奥行きが広がった感じ。まぁ、これまでの物語全体を通して言えることだけど、11年間も負けたことのない女バンパイア「エラ」を相手に、戦闘経験のないダレンが一時は相手を追い詰めたり、そのエラは尊敬する人としか握手をしないのに、何故かダレンを認めて握手したりと、安直な感じがする。しかし、ストーリー展開は面白い。

 この巻で分かったこと。
 バンパイアは高潔な種族で、試練に耐えることを尊ぶ。ミスタータイニーはこの世が始まった時から生きているようなやつで、魔力を持っていてバンパイアの誰もが恐れている。リトルピープルは、死者の霊にミスタータイニーが何らかの取引の上で身体を与えたもの。

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2005年1月 3日 (月)

ナルニア国物語4 銀のいす

著  者:C・S・ルイス (訳:瀬田貞二)
出版社:岩波書店
出版日:1966年10月1日初版 1988年6月15日第22刷改版 1995年9月5日第33刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 前号「朝びらき丸 東の海へ」から70年ほど後のナルニアの物語。
 今回は、ユースチスとその学校の友達のジルが、アスランに呼ばれて行方不明のカスピアン王の息子リリアン王子を救いに行く。
 ジルはアスランから、王子を救うための4つのしるべを教わるが、3つまでは失敗してしまう。そのために大変な苦労をするのだが、これも運命のようだ。
 今回は、世界が奥地のほうへ広がる。巨人国や地下の「夜見の国」が登場する。(さらに地下深くには「ビスム」という地底世界があることになっている)
 リリアン王子は、夜見の国の魔女に捕らわれていた。話の中ではこの魔女は、1巻に出てきた白い魔女と同じものということになっている。どうやら、魔女というのはこの世界の魔の力を象徴しているようだ。
 リリアン王子を救出する際のなぞかけが二重三重で面白い。
王子は、「今から私は魔法をかけられるので、どんな望みを頼もうと、決して言うことを聞かないでくれ」と言い残して錯乱する。しかし、その錯乱状態こそが真の王子の姿なのだ。

 もう一つ気が付いたことを。ユースチスとジルが通う学校というのは、新教育実験学校といって、古い教育を止めた自由な学校ということになっている。話の中では、この学校はあまり評価されていない。教育者でもある著者の新しい教育改革に対する批判によるものであろう。

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