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2004年8月

2004年8月18日 (水)

アーサー王と聖杯の物語 サトクリフ・オリジナル2

著  者:ローズマリ・サトクリフ (訳:山本史郎)
出版社:原書房
出版日:2001年4月4日初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「アーサー王と円卓の騎士」の続編。続編と言っても、設定、登場人物を同じにした別のお話という感じ。アーサー王伝説自体が、様々なエピソードの集合体であるから、仕方ないのだろう。
 今回は、聖杯を求めて円卓の騎士たちが旅に出る。探し求めるものが聖杯であるだけに、魔術的な雰囲気が色濃く漂う。これは、アーサー王伝説の下地となっているケルト人の伝説を反映したものだと思われる。400年も生きて魂の救済を待ち続けた王や、騎士たちを導く無人の船などが登場する。
 全編に漂う物悲しさは何なのだろう。150人いる騎士たちの半分は死んだり、重傷を負ったりしてしまう。不慮の事故や誤解から仲間に殺されてしまう者もいる。聖杯の探求を成し遂げたガラハッドは、この世の神秘を見たとして、あまりの衝撃のために生身のままでは生き続けられなくなってしまう。(生身でなく生きるとはどういうことなのか?)ガラハッドたちを導くために血を捧げたアンコレットは死んでしまうし。
 このもの悲しさは、キリスト教の自己犠牲の精神に対して感じる悲しさというか、一種の違和感なのかもしれない。キリスト教の信仰心があれば、また違った思いを持つのかもしれない。

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2004年8月13日 (金)

終わらざりし物語(上)(下)

著  者:J・R・R・トールキン クリストファー・トールキン編
出版社:河出書房新社
出版日:2003年12月20日初版 2004年1月30日第3刷
評  価:☆☆☆(説明)

 トールキンが、ホビットの冒険や指輪物語を執筆、出版するに時に、膨大な背景世界を構想していた。その中で出版を目的に書きためた原稿をつないで、指輪物語の前史に当たるものを、息子のクリストファーが本にしたものが「シルマリルの伝説」。首尾一貫しないところもあり、読み辛いものだったが、それでもひとつの物語の体を成していた。
 本書は、さらに断片的に残っていた遺稿を、若干解説を加えつつも、断片は断片のまま収録したもの。序文にあるように、指輪物語の読者で、その歴史的背景の探求に関心がある人でなければ、大半の人には読むに値しない。映画The Lord of the Ringsを見ただけの人には、全くわけがわからないはず。この本は読者を選別する。
 私は、悪戦苦闘しながらも、指輪物語、シルマリルの伝説、ホビットの冒険他を読んできたし、歴史的背景にも興味があるので、さらに悪戦苦闘したが何とか読み切った。
 トゥオル、トゥーリンの話は面白かったし、第三紀のゴンドールとローハンの友情や、ガンダルフらイスタリの話は、好奇心を満たしてくれた。読んでいて歴史をひも解くような感覚が何度もした。そう、これは、それぞれは断片ながら、ひとつの世界の歴史を記録した、トールキン世界の歴史史料を集めたものなのだ。この本の読者は、もはや研究者だということか。
 実は、中つ国の歴史シリーズという12巻の書籍があるらしい。この上まだ12冊も。いったいトールキンは、本当に1つの世界の歴史を作ろうとしていたのではないだろうか。英語版なので躊躇しているが、日本語版の出版予定はあるのだろうか。

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