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2004年2月

2004年2月28日 (土)

惑星の暗号

著  者:グラハム・ハンコック (訳:田中真知)
出版社:翔泳社
出版日:1998年11月10日発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「神の刻印」でアークについて、「神々の指紋」で失われた文明について、「創世の守護神」ではスフィンクスについての新説を唱えた著者。これまでは、全面的に信じるということはできなくても、面白く読むことはできたし、そうなのかもしれない、と思えた。
 けれども、この本はどうだろう。火星の表面に人面の構造物やピラミッドがあるという話から入っているのがいけないのかもしれない。マリナー9号が撮影した写真に写っているもののことで、確かにそのようなものが写っている。著者としては、NASAが言うような自然の産物ではない、と言いたいのだろう。
 しかし、そのために、どことどこの点を結ぶと19.5度の角度ができ、これは球の中で正四面体の底が接する緯度と同じで、地球上の2つのピラミッドと真南の線でできる角度と同じだとか、どことどこの点の距離は火星の直径の360分の1だとか、あれこれ説明している。これは素直に受け入れられない。それらが偶然ではない可能性は否定しないけれど、それだけは説得力がない。
 後半の天体衝突についてはまだ良かった。これは可能性も説得力もある(少なくとも私から見て)。光学的な観測では、真っ黒な彗星が接近してきた場合には発見は困難だろう。太陽の方向から近づいてきたとしたら、観測ができない。こうした彗星や小惑星の運動の可能性は排除できない。実際、過去には地球にも天体衝突があったようだし、1994年には木星に彗星が分裂して衝突することが実際に起きているのだから。

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2004年2月 6日 (金)

私は別人(上)(下)

著  者:シドニィ・シェルダン
出版社:アカデミー出版
出版日:1993年10月10日発行 12月10日第7刷
評  価:☆☆☆(説明)

 スーパースターのコメディアンのトビーと、妻のジルの2人の人生が織り成すドラマ。原題はA stranger in the mirror。
 シェルダンだし、超訳だしで、最後まですんなりと読み通した。ストーリーにも起伏があり(失敗しそうになっても、すんでのところで救われるといった)、よくできた娯楽作品だと思う。敢えて言えば、ハラハラドキドキやドンデン返しはなく、途中からは予想できた結末へ向かって淡々と進む、という感じがちょっと残念だった。
 トビーは、出会う女性と片っ端から寝て、思い通りにしてしまうし、その誰からも恨まれていないという何とも幸せな人生を送ってきている。もちろん、最初は少し苦労するけれど、1度世に出てからはスランプもない。ジルは、苦労人だがわがままでもあり、一本調子な感じがする。
 ジルの幼馴染のデビットは、どういうわけか、ずっとジルのことを思い続けていて、それなのに最後になって、ジルの昔の過ちを知って去って行ってしまう。訳者も同じように思ったらしく、「デビッドはどうしてジルを許してやらなかったのか」と書いている。意外な結果と言えばそうだが、腑に落ちない意外な結果はドンデン返しとは言わない。

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2004年2月 1日 (日)

ローマ人の物語12 迷走する帝国

著  者:塩野七生
出版社:新潮社
出版日:2003年12月15日発行 12月20日第2刷
評  価:☆☆☆☆☆(説明)

 15巻で完結予定のローマの歴史をつづる12巻目。211年のカラカラ帝の即位から284年のカリヌス帝の謀殺までの73年間の歴史。
 タイトルの通り、ローマ帝国の迷走ぶりが描き出されている。現役の皇帝が捕らえられてしまったかと思うと、帝国の西(ガリア)と東(シリア)でそれぞれ独立運動があり、帝国は3つに分断されてしまう。その間にも北方のゲルマン民族は、絶え間なく侵入してくるといった始末。
 そして、何よりも迷走を表しているのは、この73年間の間に22人もの皇帝が即位しては消えていること。ローマの皇帝は終身であるから、全員が皇帝になってまもなく死んでいるわけだ。それも、何かをやり遂げる前に殺されることが多い。良い政治を行っていてもつまらないことで殺されてしまう。3つに分断されたローマ帝国の再統合を成し遂げたアウレリアヌスは、厳しく叱った秘書に殺されてしまう。もう少し長く皇帝を務めていれば、ローマを再興したかもしれない。歴史で「もし...」は言っても仕方のないことだけれど。
 わずか100年足らずの間に、仮にも皇帝になるような人材を次々と失っては、如何に当時の世界帝国であっても、人材の枯渇を招かずにはいられなかっただろう。

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