1B.畠中恵

2018年5月20日 (日)

たぶんねこ

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2015年12月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」シリーズの第12作(「えどさがし」は文庫オリジナルの「外伝」。これを含めれば13作品目)。5編からなる連作短編集。それぞれで完結する短編が5つまとまって、もう一つの物語を形づくっている。

 短編5編の前に「序」、後に「終」という短い章がある。連絡短編集はこれまでにもあったけれど、こういう章建ては初めてだと思う。このシリーズには、これまでに様々な新趣向があったけれど、12作目にしてまた新しい工夫。

 その「序」に、シリーズ始まって以来の出来事が描かれている。主人公の一太郎が2カ月の間病気にならなかった。これを機に一太郎の体を丈夫にするために、半年の間「必ず守ってほしい」約束をいくつか、守り役の仁吉と佐助から言い聞かせられた。「仕事をしないでゆっくり過ごす」「恋もお預け」「友達のことを心配し過ぎない」等々。

 本作の短編は、その約束の半年間の出来事。1編目「跡取り三人」一太郎と江戸の大店の跡取り息子2人との仕事探し競争。2編目「こいさがし」知り合いの若い娘が長崎屋に行儀見習いに来る。3編目「くたびれ砂糖」菓子屋に奉公する友達が、そこの小僧に振り回される。4編目「みどりのたま」仁吉が記憶喪失に。5編目「たぶんねこ」以前に居た「神の庭」に戻りたい幽霊。

 いつも通りの面白さだった。「序」の約束は守られないのだけれど、物語がそれでダメになるわけではない。約束が守られないことにだって意味はある。これまでに登場した人物や妖は数多く、それがいい感じでちょっとだけ顔を出す。このことについて、池上冬樹さんの「解説」で、米国のマーベル・コミックスとの例えがあったけれど、なかなか的を射た意見だと思う。

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2017年9月16日 (土)

えどさがし

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2014年12月1日 発行 2016年10月15日 6刷
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」シリーズの第12作。裏表紙の説明に「初の外伝」とある。もともとこのシリーズは、長編、連作短編、短編集と、巻によってバラエティに富んだ構成になっている。短編集の中には、外伝に相当する短編はあったけれど、本書は収録された5編がすべて外伝。文庫オリジナル。

 1編目は「五百年の判じ絵」。シリーズの主人公の一太郎の守り役の一人、佐助が主人公。佐助が一太郎の家である長崎屋に、奉公することになったいきさつが描かれる。2編目の「太郎君、東へ」は、利根川を根城にする、河童の大親分の禰々子の話。利根川の化身として人の姿に化した坂東太郎も登場する。この短編は「Fantasy Seller」にも収録されている。

 3編目は「たちまちづき」。妖封じで名高い高僧の寛朝が、亭主に憑いた妖を退治してほしい、という依頼を受ける。しかし亭主に何かが憑いている様子はない。4編目は「親分のおかみさん」。人はいいけれど腕はそうでもない、岡っ引きの親分、清七のおかみさんが主人公。

 5編目が表題作の「えどさがし」。一太郎のもう一人の守り役、仁吉が主人公。ところが舞台はなんと明治の街。仁吉が一太郎と暮らしていた時代から100年は経っている。仁吉たち人ならぬ身の妖は、長寿で千年を越えて生きる。だから必ず親しい人を見送ることになる。

 このシリーズが長く続いているし、人間以外にも、妖、河童、天狗、雷様、神様、川や山..と、なんでも人格化して、自由な広がりを見せている。だから登場人物が多い。それぞれが主役を張れる魅力と人物造形を持っている。その特長が、こうして「外伝」として結実したわけだ。

 いつもの主人公の一太郎は登場しないし、舞台となっている長崎屋さえほとんどでてこない。「えどさがし」なんて、時代まで違う。それでも5編全部が、しっかりと「しゃばけ」の世界観を持っている。自由に広げているようでいて、著者はしっかりとこの、世界の根っこを押さえているのだろう。

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2017年5月14日 (日)

ひなこまち

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2015年12月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」  シリーズの第11作。このシリーズは、巻によって長編あり短編ありのバラエティに富んでいるのだけれど、本作は5編からなる連作短編集。それぞれの短編が完結しながら、全体で一つの出来事を追う形になっている。

 1編目のタイトルは「ろくでなしの船箪笥」。主人公の一太郎は病弱のため出歩いたり遊んだりすることが少なく、友達と呼べる仲間もあまりいない。その数少ない友達の一人の七之助が来て、助けてほしいという。祖父から形見として残された船箪笥が開かない、しかもその船箪笥が来てから、気味の悪いことが起こるようになった、と言う。

 2編目は「ばくのふだ」悪夢を食べるというあの「ばく」の話。3編目は「ひなこまち」江戸で一番美しい娘を選んで、その娘をモデルにひな人形を作る、という趣向。4編目は「さくらがり」一太郎たちとしては珍しく、花見をしに上野へ出かける。5編目は「河童の秘薬」1編目の「ろくでなしの船箪笥」で河童を助けた、その恩返しにもらった秘薬が騒動を起こす。

 「河童を助けた」と、何の補足もなく書いたけれど、このシリーズでは、河童はもちろん、付喪神や貧乏神やらの人ならぬ妖(あやかし)が、特に説明もなく驚きもなく登場する。知らないうちに他人の夢の中に入り込んでしまったり..。つまり「何でもあり」になってしまうのだけれど、今回もその「何でもあり」ぶりが楽しかった。

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2016年1月 9日 (土)

やなりいなり

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2013年12月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」  シリーズの第10作。「こいしくて」「やなりいなり」「からかみなり」「長崎屋のたまご」「あましょう」の5編の短編を収録した短編集。文庫版には著者と料理家の福田浩さんの対談が巻末に付いている。

 これまで通り、江戸の大店の跡取り息子で、極端に病弱な一太郎の周りで起きる騒動を描く。一太郎の周りには数多くの妖たちが居て、ここまでシリーズが進んで、馴染のメンバーが定着しているのだけれど、本書では新たに「人ならぬ者」が多く登場するのは一つの特徴。

 「こいしくて」では、あらゆる災いを支配する「禍津日神(まがつひのかみ)」、恐ろしい流行り病の神である「疱瘡神」とか、あまりありがたくない神様たちが揃って一太郎の元を訪れる。「やなりいなり」では幽霊、「からかみなり」では雷をまき散らす「雷獣」、「長崎屋のたまご」では逢魔時に生まれた「魔」。それから布袋さまや大黒さままで。

 この「人ならぬ者」たちが妙に「人間っぽい」ことが面白い。恋したり、冷やかしたり、心配したり、さぼったり、兄弟げんかをしたり。災いをもたらす神々だって、自分の役割を果たしているだけで、悪人じゃないのだ。

 本書にはもう一つ特徴があって、それは各短編の序章に料理のレシピが載っていることだ。その料理が物語の中に登場する、という趣向。例えば表題作のタイトルの「やなりいなり」は、その料理の名前で、物語の中でさかんに食べられる。巻末の料理家の方との対談もその流れ。

 前作「ゆんでめて」も大仕掛けがある作品だった。その「解説」に続巻(つまり本書)を「括目して待て」と書いてあったのは、この「レシピ」のことだったか。これまでにも何度か言ってるけれど、このシリーズはいつも何かしら新しい趣向が楽しめる。そこも魅力になっている。

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2015年10月 4日 (日)

ゆんでめて

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2012年12月1日 発行 12月10日 2刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」 シリーズの第9作。第1作「しゃばけ」、第5作「うそうそ」、前作「ころころろ」に続く4作目の長編(5編の連作短編)作品。しかし今回は、後述するようにとても斬新な構成になっている。

 タイトルの「ゆんでめて」は「弓手(ゆんで)馬手(めて)」で、弓を持つ「左手」と馬の手綱を握る「右手」という意味。本書の冒頭で一太郎が右の道を駆けて行く。本当は左の道を行くはずだった。ここは運命の分かれ道でもあった。

 一太郎は、兄の松之助の子どもの松太郎の祝いの席に居た。松太郎は4歳。元気いっぱいで、そのせいか松之助の店は明るさに満ちていた。ところが一太郎は元気がない。元来が病弱なので珍しいことはないのだけれど、今回は別の理由があった。友でもある妖の「屏風のぞき」が行方不明なのだ。

 こうして始まった後は、いつものようにちょっとした謎解きや、登場人物たちの大騒ぎが、楽しく綴られていく。2編目の「こいやこい」には、可愛らしいお嬢様が5人も登場して、なんとも華やかだし、3編目の「花の下にて合戦したる」は、オールスターキャストの装いで、4編目の「雨の日の客」にも懐かしい人が出てくる。本書は読者サービスの巻かと思う。

 そんな感じで楽しく読めるのだけれど、本書はそれだけでなく、とんでもない大仕掛けが仕掛けられている。冒頭の「兄の松之助の子どもの~」のくだりは、前作まで読んでいる読者が知らないことばかりで、明らかに時間が飛んでいる。実は本書は、短編を読み進めるごとに時間を遡る仕組みになっているのだ。

 「解説」にも書かれていたけれど、著者は各巻ごとに様々な工夫を凝らしている。短編集あり、連作短編集あり、長編もあり、時に主人公を変えてみたり。しかしシリーズ9作目にして、ここまで実験的な試みをするとは驚きだ。しかも「解説」によると、続巻も「括目して待て」とのことで、とても楽しみだ。

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2015年4月 8日 (水)

ころころろ

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2011年12月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」 シリーズの第8作。第1作「しゃばけ」、第5作「うそうそ」に続く3作目の長編(5編の連作短編)作品。

 前作「いっちばん」で18歳になっていたはずの、廻船問屋「長崎屋の」跡取り息子で主人公の一太郎が、最初の短編「はじめての」では12歳になっていた。これはどういうことか?と思ったが、どうやら12歳のころの出来事が、今回の事件の発端となっているらしい。

 「今回の事件」とは一太郎が失明してしまうことだ。2つめの短編「ほねぬすびと」の冒頭、布団で目覚めた一太郎の目には暗闇しか映らなかった。病弱で始終寝込んでいる一太郎だけれど、今回の原因は病ではないらしい。

 そんなわけで一太郎の目に光を取り戻すことが、本書の長編としてのテーマになる。それぞれの短編は、それぞれちょっとした謎を追いかけるミステリーになっている。長短の両方の展開が楽しめる作りになっている。

 面白かった。一太郎や「長崎屋」の面々ら人間と、一太郎の周辺にたくさん集ってくる妖らといった、いつものメンバーに、今回はなんと「神さま」が加わっての騒動は、賑やかだった。

 文庫には漫画家の萩尾望都さんと著者の畠中恵さんの対談が収録されている。

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2014年11月16日 (日)

いっちばん

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2010年12月1日 発行 2013年4月20日 7刷
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」シリーズの第7作。表題作「いっちばん」を含む5つの短編を収録した短編集。文庫版には、著者と漫画家の高橋留美子さんの対談が巻末に付いている。

 江戸の大店の跡取り息子で、極端に病弱な一太郎の周りで起きる騒動を描く、ということは5編に共通なのだけれど、少しずつ趣向が違う。一太郎が、馴染の妖たちの力を借りて小さな事件を解決する、というシリーズの主流を占める形のものは、最初に収録された表題作と5つ目の「ひなのちよがみ」ぐらいだ。

 2つ目の「いっぷく」は、小さな謎はあるものの事件は起きない。その代りに前作「ちんぷんかん」の中の一編とつながっている。3つ目の「天狗の使い魔」は、騒動を起こすのがなんと信濃の深山に住む大天狗。天狗と言えども妙に人間臭い。4つ目の「餡子は甘いか」は、主人公が一太郎の親友で菓子職人の栄吉。この物語で一皮むけたか。

 5つ目の「ひなのちよがみ」が面白かった。今回は一太郎が大店の跡取り息子として「商いための鍛錬」に挑む。紅白粉問屋のお雛ちゃんと許嫁の正三郎の仲違いを収めようというのだ。大店の主になれば、問題が起きれば対処を考えねばならないから、というわけなのだ。始終寝込んでいる一太郎に、男女の仲違いを収める機微など備わっているわけがない、と思うのだけれど、意外と的を射たアイデアが出てくる。しかし...。

 巻末の対談もいい。二人ともそれぞれ相手の作品が好きで、聞きたいことがあったようだ。それぞれの創作の内幕も分かって読者にとっても興味深い。高橋留美子さんは「うる星やつら」と「めぞん一刻」を同時に連載していたそうだ。そのバイタリティに脱帽。

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2014年7月24日 (木)

Fantasy Seller(ファンタジーセラー)

編  者:新潮社ファンタジーセラー編集部
出版社:新潮社
出版日:2011年6月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 大好評の「Story Seller」シリーズ(123Annex)の仲間ということで良いかと思う。ファンタジー作家さん7人の作品を収録したアンソロジー。7人に共通しているのは、ファンタジーノベル大賞で賞を受賞しているということ。

 収録順に作品名と著者を紹介する。「太郎君、東へ/畠中恵」「雷のお届けもの/仁木英之」「四畳半世界放浪記/森見登美彦」「暗いバス/堀川アサコ」「水鏡の虜/遠田潤子」「哭く戦艦/紫野貴李」「スミス氏の箱庭/石野晶」「赫夜島/宇月原晴明」。

 こうして列記してそれぞれの作品を思い出して感じるのは、ファンタジーには、ずいぶんと様々な作品があるのだということ。河童や雷や竜といった和製ファンタジーのキャラクターものや、古典文学をベースにした創作、怪奇現象やホラー色の強い題材、そして学園ものまで。(意外なことに、ファンタジーの定番の魔法系はなかった)

 私としては、馴染のある作家さんということもあって、畠中恵さんの「太郎君、東へ」が楽しめた。徳川時代の初め、関八州に聞こえた河童の大親分、禰々子(ねねこ)の物語。女性ながらめっぽう腕っぷしが強い。利根川の化身である坂東太郎とのやり取りも面白い。

 もう一人の馴染のある作家さんは森見登美彦さん。「こんなところに新作が!」と思ったのだけれど、森見さんの作品は小説ではない。「四畳半」について、自分の作品と絡めながらグダグダと書いたものだ。(「グダグダ」なんて書いたけれど貶すつもりは毛頭ない。「グダグダ」は森見さんの作風なのだ)

 他には、前から気にはなっていた仁木英之さんの「雷のお届けもの」と、「かぐや姫」をベースにした宇月原晴明さんの「赫夜島」がよかった。これを機会に他の作品を読んでみたいと思った。

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2014年3月26日 (水)

ちんぷんかん

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2007年5月30日 発行 6月20日 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」シリーズの第6作。表題作「ちんぷんかん」を含む5つの短編を収録した短編集。

 今回はいつもと少し趣向が違う作品が何編かあった。
 このシリーズの主人公は、江戸の大店の跡取り息子の一太郎なのだけれど、表題作「ちんぷんかん」は上野にあるお寺の修行僧、その次の「男ぶり」は一太郎の母のおたえの物語で、この2編は主人公がいつもと違うのだ。

 私は以前からおたえのことが気になっていた。一太郎の祖母のおぎんが実は人ならぬ妖で、その娘のおたえを通して一太郎にはその妖の血が受け継がれている。だから一太郎には様々な妖たちが見える、というのがこのシリーズの仕掛け。

 当然おたえにも妖たちが見える。いろいろなエピソードがありそうなものだ。それなのに、これまでは物語にさっぱり絡んでこない、セリフさえほとんどなかった。だから気になっていたのだ。この度おたえの口からその過去が明かされたのは「待ってました」という感じだった。

 趣向が違うという意味では「鬼と小鬼」もそうだ。舞台が何と賽の河原だ。一太郎は病弱で、何度も病で死にかかっている。しかし今回は、いよいよあの世へ向かって旅立ってしまったわけだ。

 もうひとつ。「はるがいくよ」は、これまでになく抒情的な作品。これからの桜の季節に読むと、感涙を誘うかも。

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2012年12月16日 (日)

うそうそ

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2006年5月30日 発行 6月15日 3刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」シリーズの第5作。2、3、4作目は短編集なので、本書は第1作「しゃばけ」に続く2作目の長編作品になる。短編集も、しみじみとして良い作品があり良かったが、やはり長編は読み応えがあって格別だった。

 病弱で寝込んでばかりいる主人公の一太郎が、今回は湯治のためとは言え、箱根まで旅に出ることになった。今なら小田急ロマンスカーで新宿から1時間半だけれど、江戸時代には厳しい旅だったはずで、病弱な一太郎は大丈夫なのか?

 まぁ一太郎は大店の跡取り息子で、両親は一太郎には砂糖菓子のように甘い人たちなので、息子が疲れないように金に糸目を付けない旅程が組まれた。予定通り行けば、一太郎はほとんど歩かずに宿に着いて、湯につかることができる。..そしてもちろん、予定通りには行かない。

 人さらいに遭ったり、天狗の集団の襲撃を受けたり。病弱で、ちょっと外の冷たい空気に当たっただけで、具合が悪くなって寝込んでしまう一太郎には、なかなかに過酷な経験が待っていた。しかし、これも一太郎の成長には役立った。

 「私は何かの役に立っているのだろうか?」という、常に一太郎を悩ませる想いを吹っ切れるきかっけを、少しはつかんだようだ。タイトルの「うそうそ」は「嘘々」ではなく、江戸言葉で「きょろきょろ、うろうろとたずねまわるさま」だそうだ。一太郎は自分が居る意味を、未だきょろきょろと探している。

 舞台を江戸から箱根に移したことで、神様やら天狗やらの新しい「人ならぬ者」や、人間の新しいキャラクターたちも登場してにぎやかな感じだった。

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